self
Old English自分、自身
この語根について
このコレクションに載っているほとんどの語根と違って、self はラテン語でもギリシャ語でもありません。根っからの英語の土着語です。古英語の self / seolf から来ていて、さらにさかのぼるとゲルマン祖語の *selbaz にたどり着きます。ドイツ語の selbst やオランダ語の zelf を生んだのと同じ祖先です。その意味は 1000 年以上ほとんど変わっておらず、「その人自身、その人の存在そのもの」を表します。
self が際立っているのは、まったく異なる二つの文法的な役割で単語を作る点です。
役割 1:再帰代名詞(-self / -selves)。 動作をする人と動作を受ける人が同じとき、英語は代名詞に self をくっつけます。my + self = myself、your + self = yourself、him + self = himself、her + self = herself、it + self = itself、one + self = oneself です。I hurt myself.(けがをした)は、「私」とけがをした人が同一人物だという意味です。複数形では self を selves に替えるだけで、yourselves、ourselves、themselves となります。これらの語はどこにでもあるのにほとんど目立ちません。myself を一日に何十回も使っていても、self を「語根」だと意識することはまずないでしょう。
役割 2:生産性の高い接頭辞 self-。 こちらでは self が名詞・形容詞・分詞の前に付いて、「自分に向けて/自分について/自分で」という意味を加えます。現代英語でもっとも多くの語を生み出す接頭辞のひとつで、何百もの複合語が作られています。
- self- + discipline → self-discipline:自分で自分に課す規律、自制心
- self- + defense → self-defense:自分の身を守ること、自己防衛
- self- + restraint → self-restraint:自分の衝動を抑えること、自制
- self- + absorbed → self-absorbed:自分のことに夢中で、他人が目に入らない
- self- + assertion → self-assertion:自分の意見を押し出すこと、自己主張
- self- + abasement → self-abasement:自分をおとしめること、卑下
パターンに注目してください。どの self- 複合語でも、動作が行為者自身に返ってきます。self-defense は他人ではなく自分を守ること、self-discipline は内側に向けた規律です。
selfish という語も同じ語根から来ています。self + -ish(〜の性質をもつ)で「自分のことしか気にかけない」、つまり利己的な、という意味です。1600 年代に作られた語で、もともとは道徳的な非難をこめた悪口でした。その鏡写しである unselfish(un- + selfish)は、自分より他人を気づかう、という意味です。
こうして一族はきれいに二つに分かれます。代名詞の 後ろ に self を付ければ再帰代名詞(myself)に、単語の 前 に self- を付ければ「自分に向かう」複合語(self-discipline)になります。同じ小さなゲルマン語の単語が、二つの文法的な人生を送っているのです。
一つの語に、ルールは二つです。代名詞の「後ろ」に付く self は、動作が自分にはね返ってくることを表します(I taught myself.=独学した)。単語の「前」に付く self- は、自分について・自分で・自分に向けて、という意味です(self-discipline, self-defense, selfish)。self が見えたら、スポットライトはその人自身に当たっています。
代表的な単語を詳しく
同じ語根を持つ単語の中から、特に語る価値のある数語を選び、その成り立ちを一つずつひもときます。
myself-self の仕組みがいちばんよく見える語です。my(私の)+ self(私自身)で「私、つまり動作をしているのと同じ人物」を表します。役割は二つあります。一つは再帰用法(I cut myself.=切ったのも切られたのも同じ私)、もう一つは強調用法(I built it myself.=ほかの誰の手も借りずに自分で作った)です。歴史的に面白い点として、目的格の me ではなく所有格の my と組み合わさっていることに注意しましょう。my-self であって、me-self とは言いません。
-self の仕組みがいちばんよく見える語です。my(私の)+ self(私自身)で「私、つまり動作をしているのと同じ人物」を表します。役割は二つあります。一つは再帰用法(I cut myself.=切ったのも切られたのも同じ私)、もう一つは強調用法(I built it myself.=ほかの誰の手も借りずに自分で作った)です。歴史的に面白い点として、目的格の me ではなく所有格の my と組み合わさっていることに注意しましょう。my-self であって、me-self とは言いません。
myself を見るselfishself + -ish(〜の性質をもつ)で「自分自身のことばかり」です。1640 年代ごろ、イギリスのピューリタンの著述家たちが道徳的な非難の言葉として作ったもので、それ以来ずっとその否定的な響きを保っています。selfish をほめ言葉として使うことはできません。反対語の unselfish は、見てのとおり un- をくっつけて作られました。
self + -ish(〜の性質をもつ)で「自分自身のことばかり」です。1640 年代ごろ、イギリスのピューリタンの著述家たちが道徳的な非難の言葉として作ったもので、それ以来ずっとその否定的な響きを保っています。selfish をほめ言葉として使うことはできません。反対語の unselfish は、見てのとおり un- をくっつけて作られました。
selfish を見るself-disciplineself-(自分に向けて)+ discipline(訓練、統制)です。ポイントは、統制する人と統制される人が同じだということです。コーチも上司も、外から与えられるルールもなく、自分で自分に秩序を課すのです。self- 複合語のお手本と言える語で、統制・指導・認識に関する名詞に self- を付ければ、内側に向いた版ができあがります(self-control「自制」、self-awareness「自己認識」、self-help「自助」)。
self-(自分に向けて)+ discipline(訓練、統制)です。ポイントは、統制する人と統制される人が同じだということです。コーチも上司も、外から与えられるルールもなく、自分で自分に秩序を課すのです。self- 複合語のお手本と言える語で、統制・指導・認識に関する名詞に self- を付ければ、内側に向いた版ができあがります(self-control「自制」、self-awareness「自己認識」、self-help「自助」)。
self-discipline を見るself-defenseself-(自分)+ defense(防御)です。日常的には、攻撃から自分の身を守ることを意味しますが、法律上の厳密な意味もあります。武力を使うことが正当と認められる理由、つまり正当防衛です。I acted in self-defense.(正当防衛だった)と言えれば、本来なら違法な行為が合法になりえます。つづりの違いにも注意しましょう。アメリカ英語では self-defense、イギリス英語では self-defence です。
self-(自分)+ defense(防御)です。日常的には、攻撃から自分の身を守ることを意味しますが、法律上の厳密な意味もあります。武力を使うことが正当と認められる理由、つまり正当防衛です。I acted in self-defense.(正当防衛だった)と言えれば、本来なら違法な行為が合法になりえます。つづりの違いにも注意しましょう。アメリカ英語では self-defense、イギリス英語では self-defence です。
self-defense を見る関連する語根
auto- はギリシャ語で「自分」を表す語で、英語の self- とほぼ同じ働きをしますが、ギリシャ語・ラテン語系の語幹に付きます。automatic(ひとりでに動く)、autobiography(自分で書いた人生=自伝)、autonomy(自分で治めること=自治)などです。おおまかなルールとして、self- はふつうの英語の単語に付き(self-made, self-help)、auto- は学術的・専門的な語に付きます(automatic, autopilot)。
ego はラテン語で「私」を意味し、心理的な存在としての自己を表します。egocentric(自己中心的な)、egotism(自己中心癖)、egoism(利己主義)などです。self- が内側に向かう動作を表す(self-defense)のに対し、ego- はたいてい、ふくらみすぎた自意識への評価を含みます。selfish と egoistic は意味がかなり重なります。