stinct
ラテン語 Latin突く、刺激する、消す
この語根について
この語族はすべて、ある一つの動作から始まります。とがった先で何かをちくりと突くことです。ラテン語の動詞 stinguere は「突く」「(突き棒で)追い立てる」という意味でした。突き棒(goad)とは、牛飼いが牛を歩かせるために突くとがった棒のことです。この絵をしっかり覚えておいてください。一見ばらばらに見える英単語が、これで説明できます。
一つ目の枝は、ものを見分けることに関わります。dis- は「離して」という意味で、distinguere は文字どおり「突いて分ける」こと、つまり別々のものに別々の突き跡で印をつけることでした。たとえば数取りの棒に刻み目を入れて、一本一本を見分けられるようにする感覚です。ここから distinguish(見分ける)、distinct(はっきり区別された、別個の)、distinction(違いそのもの、または栄誉のしるし)、distinctive(ほかと区別する印を持った=独特の)が生まれました。さらに in-(〜でない)をつけると、indistinct(はっきり区切られていない=ぼんやりした)や indistinguishable(突いて分けることができない=見分けがつかない)になります。
二つ目の枝では、突く向きが内側になります。in-(中に)+ stinguere から instinct が生まれました。内側からのひと突き、つまり考える間もなく行動へと駆り立てる衝動です。鳥は巣を作ろうと決めて作るわけではありません。内なる突き棒に押されて作るのです。ここから instinctive、instinctively が派生しました。
三つ目の枝は、突き棒を残したまま、変化形 stim- と stig- を通してほかの人に向けるものです。stimulus は、牛飼いが実際に使ったとがった棒を指すラテン語でした。stimulate とは何かを突いて動かすこと。経済を、神経を、好奇心を刺激するのです。stimulant はその突く役目を果たす物質、つまり興奮剤です。そして instigate(in- + stig- の形)は、人をけしかけて行動させること、たいていは面倒ごとを起こさせることです。instigator(扇動者)とは、突き棒を握っている人のことです。
四つ目の枝は、突き棒ではなくギリシャ語から来ています。stigma は焼き印や入れ墨が残す跡、つまり奴隷や罪人に印をつける突き跡でした。だから stigma は恥のしるし(汚名)であり、stigmatize は人に不名誉の烙印を押すことです。
最後の枝は無関係に見えますが、同じ動詞から作られています。ex-(外へ)+ stinguere は「突き出す」という意味でした。炎を突き出すとは、つまり火を消すことです。そこで extinguish は火を消すこと、extinguisher はそのための道具(消火器)、extinct は火が(あるいは生物の種がまるごと)完全に消えてしまった状態を表し、extinction はその消滅を指します。
つづりの見分け方も押さえておきましょう。-t- の形(distinct、instinct、extinct)は過去分詞の語幹から、-gu- の形(distinguish、extinguish)はやわらいだつづりを残したものです。stim- と stig- は牛の突き棒と焼き印の跡を今に伝えています。そして sting はラテン語からの借用ではなく英語自身の親戚です。同じ古い「突く」の語根から、別の入り口を通って英語に入ってきたのです。
牛飼いのとがった突き棒を思い浮かべてください。2頭の牛に別々の印をつける → distinguish / distinct。内側からちくりと突かれる → instinct。突いて動かす → stimulate / instigate。先端で焼き印を押す → stigma。そして「火を突き出す=消す」→ extinguish / extinct です。
代表的な単語を詳しく
同じ語根を持つ単語の中から、特に語る価値のある数語を選び、その成り立ちを一つずつひもときます。
distinguishdis-(離して)+ stinguere(突く)=「突いて分ける」。もとのイメージは、別々の刻み目をつけて一つずつ見分けられるようにすることです。ここから現代の二つの意味が生まれました。distinguish A from B(A と B を見分ける=違いを見抜く)と、distinguish oneself(業績によってはっきり区別され、群を抜いて目立つ=名を上げる)です。
dis-(離して)+ stinguere(突く)=「突いて分ける」。もとのイメージは、別々の刻み目をつけて一つずつ見分けられるようにすることです。ここから現代の二つの意味が生まれました。distinguish A from B(A と B を見分ける=違いを見抜く)と、distinguish oneself(業績によってはっきり区別され、群を抜いて目立つ=名を上げる)です。
distinguish を見るinstinctin-(内側に)+ stinguere(突く、追い立てる)=内側から来る突き棒。stimulate が外から突かれることだとすれば、instinct はすでに自分の中にある突き、つまり理性が働き出す前に行動へと押し出す衝動です。サケは理屈で考えて川をさかのぼるのではありません。内なる突き棒に駆り立てられているのです。
in-(内側に)+ stinguere(突く、追い立てる)=内側から来る突き棒。stimulate が外から突かれることだとすれば、instinct はすでに自分の中にある突き、つまり理性が働き出す前に行動へと押し出す衝動です。サケは理屈で考えて川をさかのぼるのではありません。内なる突き棒に駆り立てられているのです。
instinct を見るstimulatestimulus は文字どおり、牛飼いが牛を追うのに使ったとがった棒でした。stimulate とは、その突き棒を当てること、つまり動きたがらないものを突いて動かすことです。このイメージは現代のどの使い方にも残っています。stimulate the economy(経済を突いて成長させる)、神経を刺激する、好奇心をかき立てる。いつも、じっとしている何かが突かれて目を覚ますのです。
stimulus は文字どおり、牛飼いが牛を追うのに使ったとがった棒でした。stimulate とは、その突き棒を当てること、つまり動きたがらないものを突いて動かすことです。このイメージは現代のどの使い方にも残っています。stimulate the economy(経済を突いて成長させる)、神経を刺激する、好奇心をかき立てる。いつも、じっとしている何かが突かれて目を覚ますのです。
stimulate を見るextinguishex-(外へ)+ stinguere =「突き出す」。牛を追い立てるのと同じ語根が、火を消す、鎮めるという意味にもなります。そこから extinct(火が、あるいは種が完全に消えてしまった=絶滅した)と extinction が生まれました。つづりの分かれ方に注意しましょう。extinguish は -gu- を残し、extinct は過去分詞の -t- を残していますが、根っこは同じ一つの単語です。
ex-(外へ)+ stinguere =「突き出す」。牛を追い立てるのと同じ語根が、火を消す、鎮めるという意味にもなります。そこから extinct(火が、あるいは種が完全に消えてしまった=絶滅した)と extinction が生まれました。つづりの分かれ方に注意しましょう。extinguish は -gu- を残し、extinct は過去分詞の -t- を残していますが、根っこは同じ一つの単語です。
extinguish を見るstigmaギリシャ語の stigma から来ています。焼き印や入れ墨の跡のことで、歴史的には奴隷や罪人に印をつけるための突き跡でした。突いて刻まれた印は、やがて比喩的な印になります。stigma とは社会から押しつけられる恥のしるし(汚名)であり、stigmatize は人に不名誉の烙印を押すことです。
ギリシャ語の stigma から来ています。焼き印や入れ墨の跡のことで、歴史的には奴隷や罪人に印をつけるための突き跡でした。突いて刻まれた印は、やがて比喩的な印になります。stigma とは社会から押しつけられる恥のしるし(汚名)であり、stigmatize は人に不名誉の烙印を押すことです。
stigma を見る関連する語根
どちらも「突く・とがった先」を意味します。pung(pungere から:puncture、pungent、poignant)は日常的なラテン語の「刺す」です。stinct/stim/stig は「突き棒」の枝で、そこから駆り立てること(stimulate)や印をつけること(distinct、stigma)へと意味が移っていきました。物理的に穴をあけるなら pung、駆り立てたり印をつけたりするなら stinct です。
英語の sting はゲルマン語から、stinct はラテン語から来ていますが、どちらも同じ先史時代の語根 *steig-(突く)にさかのぼります。借用ではなく、血のつながった親戚です。
関連する単語 · 42
distinction
区別、違い;特徴;優秀さ
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区別する、見分ける;際立たせる
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instinct
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刺激する、促進する
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独特の、特徴的な
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stimulation
刺激、励まし
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はっきりと、明らかに
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本能的に、直感的に
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(火・明かりを)消す;消滅させる
indistinguishable
区別がつかない
instinctive
本能的な、直感的な
stimulant
興奮剤、刺激物;刺激となるもの
instigate
扇動する、そそのかす;着手させる
stigmatize
汚名を着せる、烙印を押す
distinctively
独特に、特徴的に
indistinct
不明瞭な、ぼんやりした
stingy
けちな、しみったれた
extinguisher
消火器