tort
ラテン語 Latinねじる、ひねる
この語根について
語根 tort は、ラテン語の torquēre「ねじる、ひねる」から来ています。過去分詞は tortus(ねじられた)です。イメージは身体的で、しかも荒々しいものです。濡れた布を両手でしぼる、ロープをきつく巻き上げる、体を本来の形からねじ曲げる。この「ねじる」というたった一つの動作から、英語の単語グループがまるごと育ちました。
最も文字どおりの単語たちは、「何かを本来の形からねじ曲げる」という発想を残しています。
- dis-(ばらばらに)+ tort → distort:顔でも画像でも事実でも、何かを本当の形からねじ曲げる、ゆがめる。
- con-(共に)+ tort → contort:体操選手が体をよじるように、全体をきつくねじり上げる。
- ex-(外へ)+ tort → extort:お金や自白を相手から「ねじり取る」。相手が音を上げるまでしぼり上げることです。
- re-(後ろへ)+ tort → retort:言われたことを相手に「ねじり返す」。圧力をそのまま押し返す、鋭い切り返しです。
torture(拷問)は、同じイメージをいちばん残酷なところまで押し進めた単語です。もとは苦痛を与えるために体を ねじる ことでした。torment(苦しめる、苦痛)は tormentum(投石機に使ったり、苦痛を与える道具として使ったりした、ねじったロープ)から来ており、同じ「しぼり上げる」苦しみを帯びています。そして tortuous は、曲がりくねった道やこみ入った議論のように、ねじれや曲がり角だらけのものを表します。(注意:tortuous「曲がりくねった」と torturous「拷問のような」は別の単語ですが、どちらもこの語根の子孫です。)
もう一つ、意味の近い流れがあります。後期ラテン語の tornāre は「ろくろで回す」、つまり何かをぐるぐる回して形を整えることでした。tornāre は「ねじる・回す」という同じ発想と結びついていて、古フランス語を経て、英語に「回る」系の単語をひとそろい残しました。
- turn そのもの、そして re- + turn → return:後ろへ回る、戻る。
- tour:もとは「ひと回り」、つまり外へ出てぐるりと回って戻ってくる旅のことで、tourist、tourism、touring が生まれました(日本語の「ツアー」「ツーリスト」もここから)。
- de-(離れて)+ tour → detour:本道からそれて回る、迂回する。
- con-(共に)+ tour → contour:形の縁を ぐるりと 回る線、つまり輪郭。
- tournament:出場者が馬の向きを「回して」何度も突撃を繰り返した催し。tourniquet:出血を止めるために「回して」きつく締める止血帯。
- attorney:文字どおりには「向けられた 人」。ある仕事に向けて任命され、法律上のことで他人の代わりに行動する人です。
つまりこのグループは、一本の境目で二つに分かれます。torquēre の「ねじる」系の単語は力やゆがみに関わるものが多く(distort、extort、torture)、tornāre の「回す・回転させる」系の単語は動きや形に関わります(tour、turn、contour、detour)。どちらも、手で何かを回したり、ぐいとひねったりする動作に行き着きます。
グループの端にいる単語もいくつかあります。tornado はふつうスペイン語の tronada(雷雨)にさかのぼるとされ、のちに tornar「回る」の影響で形が変わりました。つまりこの語根とのつながりは、一部はつづりの偶然、一部は本物の「回る」イメージによるものです。turtle と tortoise は、tortus に関係する形にはっきりしない経路でさかのぼるとされますが、そのつながりには議論があります。ここでは確かな結論は出さずに、仲間として挙げておくだけにします。
濡れたタオルを力いっぱいしぼる様子を思い浮かべましょう。そのねじりが tort です。事実をねじる → distort、相手からお金をねじり取る → extort、言葉をねじり返す → retort、体をねじって苦しめる → torture。もっと穏やかな仲間の tornāre は、ただ「回る」だけです。tour(ツアー)は外へ出てぐるりと戻り、detour はわきへそれて回り、contour は縁をぐるりと回ります。
代表的な単語を詳しく
同じ語根を持つ単語の中から、特に語る価値のある数語を選び、その成り立ちを一つずつひもときます。
extortex-(外へ)+ tort(ねじる)=「相手からねじり取る」。布をしぼるように人をしぼり上げて、お金や署名や自白を出させるイメージです。この強制的な圧力こそが、extort と中立的な get や obtain を分けるポイントです。extort は脅しによって手に入れることなのです。名詞の extortion は、この犯罪(恐喝、ゆすり)を表す標準的な法律用語です。
ex-(外へ)+ tort(ねじる)=「相手からねじり取る」。布をしぼるように人をしぼり上げて、お金や署名や自白を出させるイメージです。この強制的な圧力こそが、extort と中立的な get や obtain を分けるポイントです。extort は脅しによって手に入れることなのです。名詞の extortion は、この犯罪(恐喝、ゆすり)を表す標準的な法律用語です。
extort を見るretortre-(後ろへ)+ tort(ねじる)=「ねじり返す」。誰かが言葉を投げつけてきたとき、retort はそれをそのまま相手へねじり返します。すばやく鋭い、しばしば気の利いた切り返しです。大事なのは「返す」動きで、ただの返事ではなく、挑発や侮辱に応じて放たれる反撃の一言なのです。
re-(後ろへ)+ tort(ねじる)=「ねじり返す」。誰かが言葉を投げつけてきたとき、retort はそれをそのまま相手へねじり返します。すばやく鋭い、しばしば気の利いた切り返しです。大事なのは「返す」動きで、ただの返事ではなく、挑発や侮辱に応じて放たれる反撃の一言なのです。
retort を見るtourtour は *tornāre*「回る」の流れから来ています。tour はもとは「ひと回り」、つまり片道の旅ではなく、外へ出てぐるりと回って家に戻ってくる旅のことでした。このぐるりと回るイメージは、今でも world tour(世界を回って戻ってくる)や、バンドの concert tour(都市から都市へ回って最後に帰る)に表れています。ここから tourist、tourism、touring が生まれました。
tour は *tornāre*「回る」の流れから来ています。tour はもとは「ひと回り」、つまり片道の旅ではなく、外へ出てぐるりと回って家に戻ってくる旅のことでした。このぐるりと回るイメージは、今でも world tour(世界を回って戻ってくる)や、バンドの concert tour(都市から都市へ回って最後に帰る)に表れています。ここから tourist、tourism、touring が生まれました。
tour を見るdistortdis-(ばらばらに)+ tort(ねじる)=「本当の形からねじって離す」。この単語は三つのレベルで働きます。物理的なもの(heat distorts the metal=熱で金属がゆがむ)、情報に関するもの(the report distorts the facts=報道が事実をゆがめる)、技術的なもの(the amp distorts the signal=アンプが信号をひずませる)です。どの場合も、何かが正確な、本来の形からねじ曲げられています。
dis-(ばらばらに)+ tort(ねじる)=「本当の形からねじって離す」。この単語は三つのレベルで働きます。物理的なもの(heat distorts the metal=熱で金属がゆがむ)、情報に関するもの(the report distorts the facts=報道が事実をゆがめる)、技術的なもの(the amp distorts the signal=アンプが信号をひずませる)です。どの場合も、何かが正確な、本来の形からねじ曲げられています。
distort を見るattorneyこのグループで最も意外な単語です。古フランス語の *atorné* から来ており、これは *atorner*「〜に向ける、割り当てる」(a- + *tornāre*「回す」)の過去分詞です。attorney は文字どおり「向けられた人」、つまりある仕事に向けて任命され、他人の代わりに行動する人のことです。日常的な「回す」のイメージはすっかり消え、法律上の意味(代理人、弁護士)だけが残りました。
このグループで最も意外な単語です。古フランス語の *atorné* から来ており、これは *atorner*「〜に向ける、割り当てる」(a- + *tornāre*「回す」)の過去分詞です。attorney は文字どおり「向けられた人」、つまりある仕事に向けて任命され、他人の代わりに行動する人のことです。日常的な「回す」のイメージはすっかり消え、法律上の意味(代理人、弁護士)だけが残りました。
attorney を見る関連する語根
どちらも「回る」ことに関わりますが、vert(ラテン語 *vertere*)は convert、reverse、invert の背後にある一般的な「回る、向きを変える」の語根で、ある方向へ向きを変えたり、状態が変わったりすることです。tort / *tornāre* は、ねじったり巻いたりすることが中心です(ねじって形を崩す、ぐるりと回る)。大まかな見分け方:向きや状態が変わるなら vert、物理的にねじる・巻くなら tort です。
extort と extract は見た目が似ていますが、感触が違います。extort(tort=ねじる)は、脅しによってお金や自白をねじり取ることで、強制的です。extract(tract=引く、引きずる)は、何かを引き出すことで、中立的な場合が多い単語です(extract a tooth=歯を抜く、extract data=データを抽出する)。脅しや圧力があれば extort、すっと引き抜くなら extract です。
関連する単語 · 27
return
戻る、帰る;返す;収益;帰還
attorney
弁護士;代理人
tour
旅行、見学;巡業;周遊する
tourist
観光客
tournament
トーナメント、選手権大会
tourism
観光;観光業
torture
拷問;拷問にかける、苦しめる
turtle
カメ、ウミガメ;転覆する
distort
ゆがめる;(事実を)曲げる
tornado
竜巻
torch
たいまつ;懐中電灯;放火する
distortion
ゆがみ、変形;歪曲;(信号の)ひずみ
contour
輪郭、外形;等高線
torment
苦痛、苦悩;苦しめる
detour
回り道、迂回路;迂回する
tortoise
カメ、リクガメ
retort
言い返す、やり返す;しっぺ返し
extortion
ゆすり、恐喝
contort
ねじ曲げる、ゆがめる
extort
ゆすり取る、強要する
tortuous
曲がりくねった;回りくどい
tourniquet
止血帯
torturous
ひどく苦しい、拷問のような
contortion
ねじれ、ゆがみ;体を極端に曲げること