car
ラテン語 Latin走る、流れる;車、運ぶ
この語根について
語根 car は、二本のラテン語の糸をより合わせたものです。どちらも同じひとつの考え、つまり「地面の上を何かが動いていく」というイメージのまわりを回っています。
一本目の糸は動詞 currere「走る、流れる」です。道を全力で駆けていくローマの伝令や、海へと流れていく川を思い浮かべてください。英語はこの currere から、動きを表す単語の体系をまるごと受け継ぎました。そこでは接頭辞が、どの方向へ走るのかを教えてくれます。
- ob-(〜の方へ、行く手に)+ currere → occur:何かがこちらへ「走り寄ってくる」=起こる、(考えが)ふと浮かぶ。
- re-(後ろへ、再び)+ currere → recur:走って戻ってくる=再び起こる。(recurrence, recurrent, recurring)
- con-(共に)+ currere → concur:心が一緒に走る=意見が一致する(concurrent, concurrence)。
- in-(〜の上へ)+ currere → incur:望まないものに走り込んでしまう=借金・費用・非難などを招く、負う。
- ex-(外へ)+ currere → excursion:外へ走り出ること=家を離れての小旅行、遠足。
- pre-(前に)+ currere → precursor:先に走る者=先駆者、これから来るものの前触れ。
何かが今まさに走っているなら、それは current です。この一語が、川の流れ(海流、水流)、電気の流れ(電流)、そして現在という時(「今走っているもの」)をまとめて表します。経済の中を「走る」お金は currency(通貨)です。
ラテン語は過去分詞 cursus(「走ること、走路」)から名詞を作りました。これが古フランス語を経てやわらぎ、course になります。最初は走るためのトラックを指し、やがてあらゆる道筋や流れを指すようになりました。川の流れ(the course of a river)、事の成り行き(the course of events)、そして最後には学習のコース(a course of study)です。cursus の子どもの中でいちばん意外なのは curriculum でしょう。ラテン語では小さな競走用の馬車や、そのひと周りを指していましたが、現代の学校では、生徒が課程を通して走り抜ける「トラック」、つまり教育課程のことです。筆記体の cursive はペンを離さずに続けて「走る」書き方、cursor は画面の上を駆け回る小さな走者、cursory は走りながら片づけた、つまり急ぎすぎて丁寧さに欠ける(ざっとした)という意味です。
二本目の糸は carrus です。ローマ人がケルト人から借りた言葉で、四輪の荷車を指していました。こちらはファミリーの中でも、重くて物理的な、荷物を運ぶ側の面です。carrus からは car(もとは荷車や馬車全般を指し、ずっと後になって motor car が縮まり自動車を意味するようになりました)、cart(荷車)、cargo(荷車に積んだ荷=積み荷)、carriage(運ぶもの=馬車・車両。そこから、人が自分の体をどう運ぶか=身のこなし)、carrier(運ぶ者)が生まれました。
さらに、文字どおりの出発点から驚くほど遠くへ飛んだ仲間が二つあります。career は競走路という同じイメージ(フランス語の carrière)から来ています。最初はコースを全速力で駆けることを意味しました。今でも to career down a hill といえば、坂を猛スピードで突っ走ることです。そこから比喩的に、職業人生という「コース」を走り抜けること、つまり経歴やキャリアを意味するようになりました。charge は後期ラテン語の carricare「荷車に荷を積む」(carrus + -icare)から来ています。「積む」から意味が次々とつながっていきました。武器に弾を込める、人に義務を負わせる(charge them with a task「任務を課す」)、人に罪を負わせる(charge with a crime「告発する」)、請求書に金額を載せる(勘定の charge「料金」)、エネルギーを蓄える(charge a battery「充電する」)。騎兵隊の charge(突撃)でさえ、全速力で前へ「積み込んでいく」動きなのです。
ファミリー全体を貫くルールはこうです。何かが走る(currere)のであれ、車輪に載せて運ばれる(carrus)のであれ、行き先を教えてくれるのは接頭辞です。
二つの絵を思い浮かべましょう。トラックを走るランナーと、荷物を積んだ荷車です。ランナーからは currere の単語が出てきます。今走っているものが current、走る道筋が course、走るひと周りが curriculum です。荷車からは carrus の単語が出てきます。car, cart, cargo, carriage です。career は人生で走るトラック、charge は荷車・武器・請求書・バッテリーに「積み込む」ことだと考えれば、どちらもこの二つの絵につながります。
代表的な単語を詳しく
同じ語根を持つ単語の中から、特に語る価値のある数語を選び、その成り立ちを一つずつひもときます。
occurob-(〜の方へ、行く手に)+ currere(走る)で、「何かがこちらへ走り寄ってくる」という意味です。出来事が現実の中へ走り込んでくるとき、それは occur(起こる)します。考えが頭の中へ走り込んでくるとき、それは occur to you(ふと思い浮かぶ)します。occurred / occurring では r が二つ重なり、つづりも変わる点に注意しましょう。よくあるつづりの落とし穴です。
ob-(〜の方へ、行く手に)+ currere(走る)で、「何かがこちらへ走り寄ってくる」という意味です。出来事が現実の中へ走り込んでくるとき、それは occur(起こる)します。考えが頭の中へ走り込んでくるとき、それは occur to you(ふと思い浮かぶ)します。occurred / occurring では r が二つ重なり、つづりも変わる点に注意しましょう。よくあるつづりの落とし穴です。
occur を見るcurrent文字どおり「走っている」という意味です(currere から)。同じ一語が、三つの「走るもの」を表します。動いている水の流れ(ocean current「海流」)、電気の流れ(electric current「電流」)、そして現在という時(「今走っているもの」。current events「時事問題」)です。経済の中を走るお金は currency(通貨)です。
文字どおり「走っている」という意味です(currere から)。同じ一語が、三つの「走るもの」を表します。動いている水の流れ(ocean current「海流」)、電気の流れ(electric current「電流」)、そして現在という時(「今走っているもの」。current events「時事問題」)です。経済の中を走るお金は currency(通貨)です。
current を見るcoursecurrere の過去分詞 cursus「走ること」から来ています。最初は走るためのトラックでしたが、やがてあらゆる道筋や流れを意味するようになりました。the course of a river(川の流れ)、the course of events(事の成り行き)、of course(物事が自然に進む流れのとおり=もちろん)、そして a course of study(ある科目を学ぶときにたどるトラック=講座、課程)です。
currere の過去分詞 cursus「走ること」から来ています。最初は走るためのトラックでしたが、やがてあらゆる道筋や流れを意味するようになりました。the course of a river(川の流れ)、the course of events(事の成り行き)、of course(物事が自然に進む流れのとおり=もちろん)、そして a course of study(ある科目を学ぶときにたどるトラック=講座、課程)です。
course を見るcareerフランス語の carrière「競走路」から来ています。動詞としての元の意味が今も残っていて、to career down a hill といえば、坂を制御できないほどの猛スピードで突っ走ることです。おなじみの名詞の意味は比喩で、職業人生という「トラック」を走ること、つまり経歴やキャリアを表します。同じイメージなのに、使われる場面はまるで違います。
フランス語の carrière「競走路」から来ています。動詞としての元の意味が今も残っていて、to career down a hill といえば、坂を制御できないほどの猛スピードで突っ走ることです。おなじみの名詞の意味は比喩で、職業人生という「トラック」を走ること、つまり経歴やキャリアを表します。同じイメージなのに、使われる場面はまるで違います。
career を見るcharge後期ラテン語の carricare「荷車に荷を積む」(carrus から)が語源です。「積む」という行為が、網の目のように意味を広げました。人に義務を積む(charge with a task「任務を課す」)、罪を積む(charge with a crime「告発する」)、請求書に金額を積む(the charge on a bill「請求額、料金」)、エネルギーを積む(charge a battery「充電する」)、そして勢いよく前へ積み込んでいく(a cavalry charge「騎兵の突撃」)。どれも「荷を載せる」ことなのです。
後期ラテン語の carricare「荷車に荷を積む」(carrus から)が語源です。「積む」という行為が、網の目のように意味を広げました。人に義務を積む(charge with a task「任務を課す」)、罪を積む(charge with a crime「告発する」)、請求書に金額を積む(the charge on a bill「請求額、料金」)、エネルギーを積む(charge a battery「充電する」)、そして勢いよく前へ積み込んでいく(a cavalry charge「騎兵の突撃」)。どれも「荷を載せる」ことなのです。
charge を見る関連する語根
どちらも動きに関わる語根ですが、car(currere)は速く走る・流れることを表し、grad/gress は一歩一歩踏みしめて前へ進むことを表します。progress(進歩)、gradual(徐々の)のように段階を踏むなら grad、current, occur, excursion のように走る・勢いよく流れるなら car です。
vad/vas(invade, evade, pervade)も「行く、歩く」という意味ですが、どこかへ力ずくで入り込む、あるいはこっそりすり抜けるというニュアンスを帯びています。car(currere)は、ただ走る・流れることです。力ずくで入り込む・すり抜けるなら vad、走る・流れるなら car と覚えましょう。
port(portāre「運ぶ」)は、car のうち carrus 側(荷車で運ぶ)と意味が重なります。どちらも物を動かす語根です。port は「ある場所から別の場所へ運ぶ」という一般的な意味(import「輸入する」、transport「輸送する」)を持ち、car 由来の「運ぶ」系の単語は荷車・馬車のイメージと結びついています(cargo, carriage, carrier)。
関連する単語 · 96
car
自動車;車両
course
講座、課程;進路;経過;(料理の)一品
carry
運ぶ、持ち歩く;伝える
current
現在の;流通している;流れ、電流;風潮
career
経歴、職業;疾走する
occur
起こる、生じる;(考えが)浮かぶ;存在する
charge
料金;責任;告発;請求する;充電する
currently
現在、今のところ
curriculum
教育課程、カリキュラム
discourse
講演、論述;談話
carrier
運送業者、航空会社;保菌者
corridor
廊下、通路;回廊地帯
currency
通貨;流通、普及
cart
荷車、手押し車;運ぶ
cargo
貨物、積み荷
discharge
放出する、排出する;解雇する、除隊させる;分泌物
carriage
馬車;(鉄道の)客車;姿勢、身のこなし
intercourse
交流、交際;性交
incur
(損害・不快を)招く、被る
carpenter
大工;大工仕事をする
excursion
小旅行、遠足
concur
同意する;同時に起こる
precursor
先駆け、前兆;前駆物質
recurring
繰り返し起こる、循環する