cid
ラテン語 Latin切る、殺す
この語根について
刃物を手にしたローマ人を思い浮かべてください。ラテン語の動詞 caedere は、鋭い刃で打つこと、つまり切る、切り倒す、殺すという意味でした。現在形の語幹は -cid-、過去分詞の語幹は -cis- として現れ、英語はその両方を受け継ぎました。刃のひと振りから大きな二本の枝が伸び、刃が何をしているのかを教えてくれるのが接頭辞です。
殺す枝は、接尾辞 -cide の中に生きています。-cide は殺す行為そのもの、あるいは殺すものを表します。ここでは前の部分が犠牲者を示します。sui-(自分自身)+ cide = suicide(自殺)、homo-(人間。ラテン語の homo から)+ cide = homicide(殺人)、geno-(種族、民族)+ cide = genocide(大量虐殺)、patri-(父)+ cide = patricide(父親殺し)です。現代の化学は同じ仕組みを借りて、製品名を作りました。pest + i + cide = pesticide(殺虫剤、農薬)、herb + i + cide = herbicide(除草剤)、insect + i + cide = insecticide(殺虫剤)、fungi + cide = fungicide(殺菌剤、防カビ剤)、bacteri + cide = bactericide(殺菌剤)です。どの語でも -cide が殺し手で、語の前半が殺されるものです。
切る枝は -cise/-cis の中に生きています。こちらでは接頭辞が、どのように切るのかを示します。prae-(前に、前方で)+ cis = precise:前端でぴたりと切り落とし、きっちり縁まで切りそろえた=余分がまったくない、正確な。con-(すっかり)+ cis = concise:要点だけになるまで切り詰めた=簡潔な。in-(中へ)+ cis = incise, incision:表面に切り込むこと。外科医が皮膚に入れるメスのような切り込みです。incisor は食べ物を切る前歯(門歯)のことです。ex-(外へ)+ cis = excise, excision:何かを切り取って取り除くこと。scissors(はさみ)は切るための二枚刃の道具で、chisel(のみ)でさえ、古フランス語を経て caedere にさかのぼります。石や木を切る刃です。
二つの枝のあいだに、いちばん役に立つ単語があります。decide です。de-(離して、切り離して)+ caedere で「切り離す」。切り離すのは、ほかのすべての選択肢です。決めるとは、枝分かれした選択肢にナイフを入れ、一本を残してすべての道を断ち切ることなのです。だから decisive(決断力のある)な人とはすっぱりと切れる人のことであり、undecided(決めかねている)な人は、ナイフを振り上げないまま分かれ道に立ち尽くしている人なのです。
注意点があります。cid(caedere、切る/殺す)は、cad(cadere、落ちる)とは別の語根です。incident や coincidence のように、英語のつづりでは両者が似通ってしまうこともありますが、これらは「切る」ではなく「落ちる」の仲間です。近所に住んでいても、家族は別なのです。
振り下ろされる刃を思い浮かべてください。-cide は何を殺すか(suicide, pesticide)、-cise/-cis はどう切るか(precise=ぴたりと縁で切る、incise=切り込む、excise=切り取る)を表します。そして decide とは、一つを残してほかの選択肢をすべて切り捨てることです。
代表的な単語を詳しく
同じ語根を持つ単語の中から、特に語る価値のある数語を選び、その成り立ちを一つずつひもときます。
decideこの語根の中でいちばん教えがいのある単語です。de-(離して)+ caedere(切る)で、文字どおりには「切り離す」。切り離されるのは、競い合うほかの選択肢すべてです。枝分かれした道を思い浮かべてください。決めるとは、そこに刃を入れて一本以外をすべて断ち切ることです。だから decisive は迷いなくすばやく切れること、indecision(優柔不断)はナイフを振り上げたまま固まっていることなのです。decide と homicide を結びつけて考える学習者はほとんどいませんが、この二つは同じラテン語の刃を共有しています。
この語根の中でいちばん教えがいのある単語です。de-(離して)+ caedere(切る)で、文字どおりには「切り離す」。切り離されるのは、競い合うほかの選択肢すべてです。枝分かれした道を思い浮かべてください。決めるとは、そこに刃を入れて一本以外をすべて断ち切ることです。だから decisive は迷いなくすばやく切れること、indecision(優柔不断)はナイフを振り上げたまま固まっていることなのです。decide と homicide を結びつけて考える学習者はほとんどいませんが、この二つは同じラテン語の刃を共有しています。
decide を見るpreciseprae-(前で)+ cis(切る)で、「前端で切り落とした」、つまりはみ出す部分がないよう縁ぴったりに切りそろえた、という意味です。余分を一切残さない、きれいで意図的な切り口。そのイメージが「正確な、誤差のない」という意味になりました。concise と比べてみましょう。こちらは con-(すっかり)+ cis で、要点だけになるまで切り詰めた=簡潔な、という意味です。
prae-(前で)+ cis(切る)で、「前端で切り落とした」、つまりはみ出す部分がないよう縁ぴったりに切りそろえた、という意味です。余分を一切残さない、きれいで意図的な切り口。そのイメージが「正確な、誤差のない」という意味になりました。concise と比べてみましょう。こちらは con-(すっかり)+ cis で、要点だけになるまで切り詰めた=簡潔な、という意味です。
precise を見るsuicidesui-(自分自身の。ラテン語の sui から)+ cide(殺すこと)で、「自分を殺すこと」、つまり自殺です。-cide ファミリー全体のいちばんわかりやすいひな形でもあります。前の犠牲者を入れ替えれば、homicide(人間=殺人)、genocide(民族=大量虐殺)、patricide(父親=父親殺し)になります。接尾辞 -cide は変わらず、前の部分が誰が死ぬのかを示すのです。
sui-(自分自身の。ラテン語の sui から)+ cide(殺すこと)で、「自分を殺すこと」、つまり自殺です。-cide ファミリー全体のいちばんわかりやすいひな形でもあります。前の犠牲者を入れ替えれば、homicide(人間=殺人)、genocide(民族=大量虐殺)、patricide(父親=父親殺し)になります。接尾辞 -cide は変わらず、前の部分が誰が死ぬのかを示すのです。
suicide を見るpesticidepest(有害な生き物)+ -i-(つなぎ)+ cide(殺すもの)で、有害な生き物を殺す物質、つまり殺虫剤・農薬です。これはこの語根の現代的・工業的な使い方です。化学者は -cide を工場の刻印のように使い、あるカテゴリーをまるごと殺すものに名前をつけました。herbicide は植物を、insecticide は昆虫を、fungicide は菌類を、bactericide は細菌を殺します。ここでの -cide は行為ではなく「〜を殺すもの」という物を表しています。
pest(有害な生き物)+ -i-(つなぎ)+ cide(殺すもの)で、有害な生き物を殺す物質、つまり殺虫剤・農薬です。これはこの語根の現代的・工業的な使い方です。化学者は -cide を工場の刻印のように使い、あるカテゴリーをまるごと殺すものに名前をつけました。herbicide は植物を、insecticide は昆虫を、fungicide は菌類を、bactericide は細菌を殺します。ここでの -cide は行為ではなく「〜を殺すもの」という物を表しています。
pesticide を見るincisionin-(中へ)+ cis(切る)+ -ion(行為)で、何かに切り込む行為やその結果を表します。たいていは、外科医が皮膚に入れる意図的な切り込み(切開)のことです。同じ in- + cis から、incise(切り込む、彫る)や incisor(食べ物を切る前歯)が生まれました。excision と対比してみましょう。こちらは ex-(外へ)+ cis で、何かを切り取って取り除くこと(切除)です。
in-(中へ)+ cis(切る)+ -ion(行為)で、何かに切り込む行為やその結果を表します。たいていは、外科医が皮膚に入れる意図的な切り込み(切開)のことです。同じ in- + cis から、incise(切り込む、彫る)や incisor(食べ物を切る前歯)が生まれました。excision と対比してみましょう。こちらは ex-(外へ)+ cis で、何かを切り取って取り除くこと(切除)です。
incision を見る関連する語根
cid(caedere)は「切る/殺す」で、decide, precise, homicide, pesticide を作ります。cad(cadere)は「落ちる」で、accident, incident, coincidence, cadence を作ります。つづりはほとんど同じで、どちらも一部の単語では -cid- の形で現れますが、互いに関係はありません。見分け方は簡単です。刃物が関わるなら cid、何かが落ちる・起こるなら cad です。
どちらも「切る」に関わる語根ですが、sect(secare)は「部分に切り分ける」という日常的な語根です。section(区分)、dissect(解剖する)、bisect(二等分する)、insect(体が節に「切り込まれた」生き物=昆虫)などがあります。cid/cis(caedere)は、切り落とす、切り取る、打ち殺すといった、より鋭い刃の感覚を持っています。excise, incision, homicide です。いくつかに分けるなら sect、断ち切る・殺すなら cid です。
関連する単語 · 44
decide
決める、決心する
decision
決定、決断
suicide
自殺;自殺者
precisely
正確に;まさに、ちょうど
precise
正確な、精密な
homicide
殺人;殺人犯
pesticide
殺虫剤、農薬
precision
正確さ、精度
decisive
決定的な;決断力のある
genocide
大量虐殺、ジェノサイド
decidedly
明らかに、確かに;きっぱりと
suicidal
自殺願望のある;自殺的な、自滅的な
scissors
はさみ
undecided
未決定の;決めかねている
decisively
決定的に;きっぱりと
incision
切り込み、切開
herbicide
除草剤
insecticide
殺虫剤
concise
簡潔な、簡明な
chisel
のみ、たがね;彫る、刻む
excise
物品税、消費税;切除する
indecision
優柔不断、ためらい
excision
切除;削除
imprecise
不正確な、あいまいな