circ
ラテン語 Latin円、輪、周りに
この語根について
語根 circ は、一つのシンプルな絵にさかのぼります。ぐるりと閉じていて、出発点に戻ってくる丸い線です。二つの古代語が、この同じ絵を描きました。
ラテン語の circus は、輪や円形の競技場を意味していました。ローマ人は巨大な楕円形の競走場を造り、それをそのまま Circus と呼びました(いちばん有名なのが Circus Maximus です)。指小形の circulus は「小さな輪」という意味です。ここからファミリーの中でもいちばん身近な単語が生まれました。circle(丸い形そのもの=円)、circular(丸い、あるいはぐるりと回る)、そして circus です。circus は「円形の競技場」という意味を保ったまま、輪の中で演じられる現代の巡業ショー、つまりサーカスにまで受け継がれました。
同じラテン語の語幹から、動詞 circulāre「円を描いて動く」が生まれました。これが circulate です。ここで比喩がどう広がるかに注目してください。血液は体中を circulate(循環)し、お金は経済の中を circulate(流通)し、うわさはオフィス中を circulate(広まる)します。共通するのはいつも「輪」です。何かがぐるりと回って戻ってくるのです。circulation(循環、流通)、circulatory(循環の)、そして新聞などで使う circular(全員に回される通知=回覧、ちらし)という意味も、すべてこの輪の上にあります。
ラテン語は circ を、とても便利な接頭辞 circum-「ぐるりと一周」にも変えました。circum- をほかの語根につなげると、「何かのまわりをぐるりと一周してその動作をする」という意味になります。
- circum- + stāre(立つ)→ circumstance:出来事の「まわりに立っている」もの=周囲の状況、事情。
- circum- + venīre(来る)→ circumvent:障害物に正面からぶつからず「回り込んで来る」こと。今では、規則をうまくすり抜けることを意味します。
- circum- + ferre(運ぶ)→ circumference:円の「まわりに運ばれた」線=円周、外周。
- circum- + navigāre(航海する)→ circumnavigate:(地球を)ぐるりと一周航海する。
- circum- + locūtiō(話すこと)→ circumlocution:要点をはっきり言わず、その「まわりを」話すこと=遠回しな言い方。
輪は、意外な場所にも潜んでいます。circuit は文字どおりには「ぐるりと行くこと」(circum + ire「行く」)で、閉じた輪のことです。電気回路の輪のことも、裁判官が町から町へ決まった道筋を巡回することも指します。また circadian(circa-「およそ」+ diēs「日」)は、体の中にあるほぼ24時間周期の時計、つまり一日単位の輪を表します(circadian rhythm「概日リズム」)。
いちばんの驚きは search でしょう。この語は古フランス語の cerchier を経て、後期ラテン語の circāre「探るためにぐるりと回る」から来ています。家を search するとは、もともとは家のまわりを歩き回って探すことでした。私たちがものを探すときに使う、ごく普通の動詞の中に、円が隠れているのです。
ファミリーのギリシャ語側も、kyklos「車輪、円」で同じ物語を語りました。英語はこれを変化形 cycl- として借り、車輪のイメージは表面近くに残りました。cycle は繰り返されるひと回り(a wash cycle「洗濯の1サイクル」、a life cycle「生活環、ライフサイクル」)、bicycle は車輪が二つ、tricycle は三つ、unicycle は一つ、cyclone は円を描いて渦巻く風です。そして encyclopedia(ギリシャ語 enkyklios paideia「一巡りの教育」)は、知識の輪をまるごと一か所に収めようとしたもの、つまり百科事典です。
ローマ経由でもアテネ経由でも、見分け方は同じです。その単語の中に円が描けるかどうか。まわりを回るなら circum-、輪のように繰り返すなら circulate / cycle、丸い形そのものなら circle、輪の境界線なら circuit / circumference です。
サーカスを思い浮かべてください。大きな丸いリングの中で行われるショーです。そのリングこそが circ です。circ / circum / cycl の単語には、どれも円が隠れています。circulate=血液がリングをぐるりと回る、circumvent=リングを突っ切らずに回り込む、bicycle=二つの車輪(リング)が回る、と覚えましょう。
代表的な単語を詳しく
同じ語根を持つ単語の中から、特に語る価値のある数語を選び、その成り立ちを一つずつひもときます。
circleファミリー全体のシンプルな土台で、丸い形そのものを表します。ラテン語の circulus(「小さな輪」)から来ています。比喩的な使い方への広がりにも注目しましょう。an inner circle(誰かを取り巻く身内の小集団=側近)、come full circle(一周して元の場所に戻る)、a vicious circle(自分で自分を悪化させる輪=悪循環)などです。「circle=閉じた輪」と見えれば、ファミリーのほかの単語もすべてそこから読み解けます。
ファミリー全体のシンプルな土台で、丸い形そのものを表します。ラテン語の circulus(「小さな輪」)から来ています。比喩的な使い方への広がりにも注目しましょう。an inner circle(誰かを取り巻く身内の小集団=側近)、come full circle(一周して元の場所に戻る)、a vicious circle(自分で自分を悪化させる輪=悪循環)などです。「circle=閉じた輪」と見えれば、ファミリーのほかの単語もすべてそこから読み解けます。
circle を見るcirculatecirculāre「円を描いて動く」は、この語根が抽象的な意味へと向かう地点です。物理的な輪(血液の循環)が、出ていっては戻ってくるあらゆる循環へと広がりました。お金、空気、うわさ、書類、どれも circulate します。文字どおりの円から「繰り返される流れ」という考えへの橋渡しになっている語で、だから circular が「全員に回される通知(回覧)」も意味しうるのです。
circulāre「円を描いて動く」は、この語根が抽象的な意味へと向かう地点です。物理的な輪(血液の循環)が、出ていっては戻ってくるあらゆる循環へと広がりました。お金、空気、うわさ、書類、どれも circulate します。文字どおりの円から「繰り返される流れ」という考えへの橋渡しになっている語で、だから circular が「全員に回される通知(回覧)」も意味しうるのです。
circulate を見るcircumvent接頭辞 circum- のいちばんわかりやすい見本です。circum-(まわりを)+ vent(来る)で、「回り込んで来る」。規則を正面から破るのではなく、ぐるりと迂回してすり抜ける巧妙な道を見つけることです。circumnavigate(ぐるりと一周航海する)や circumference(まわりに運ばれた線=円周)と比べてみましょう。同じ接頭辞、同じ「何かのまわりをぐるりと一周する」絵です。
接頭辞 circum- のいちばんわかりやすい見本です。circum-(まわりを)+ vent(来る)で、「回り込んで来る」。規則を正面から破るのではなく、ぐるりと迂回してすり抜ける巧妙な道を見つけることです。circumnavigate(ぐるりと一周航海する)や circumference(まわりに運ばれた線=円周)と比べてみましょう。同じ接頭辞、同じ「何かのまわりをぐるりと一周する」絵です。
circumvent を見るcycleギリシャ語の枝(kyklos「車輪」)です。cycle は、車輪がひと回りしてまた繰り返すことを表します。a wash cycle(洗濯の1サイクル)、a life cycle(ライフサイクル)、an economic cycle(景気循環)などです。cycl- を「車輪/円」と見抜ければ、bicycle(車輪が二つ)、cyclone(円を描いて渦巻く風)、さらには encyclopedia(知識の「輪」をまるごと収めたもの=百科事典)まで読み解けます。
ギリシャ語の枝(kyklos「車輪」)です。cycle は、車輪がひと回りしてまた繰り返すことを表します。a wash cycle(洗濯の1サイクル)、a life cycle(ライフサイクル)、an economic cycle(景気循環)などです。cycl- を「車輪/円」と見抜ければ、bicycle(車輪が二つ)、cyclone(円を描いて渦巻く風)、さらには encyclopedia(知識の「輪」をまるごと収めたもの=百科事典)まで読み解けます。
cycle を見るsearchファミリーでいちばん意外な仲間です。search は古フランス語の cerchier を経て、後期ラテン語の circāre「探りながらぐるりと回る」から来ています。search とは、もともと文字どおり、ある場所を歩き回って探すことでした。現代の語からは円のイメージがすっかり消えていますが、circle や circus と同じ circ が、私たちがものを探すときのいちばん身近な動詞に隠れているのです。
ファミリーでいちばん意外な仲間です。search は古フランス語の cerchier を経て、後期ラテン語の circāre「探りながらぐるりと回る」から来ています。search とは、もともと文字どおり、ある場所を歩き回って探すことでした。現代の語からは円のイメージがすっかり消えていますが、circle や circus と同じ circ が、私たちがものを探すときのいちばん身近な動詞に隠れているのです。
search を見る関連する語根
どちらも「まわりに」という意味ですが、peri- はギリシャ語、circum- はラテン語です。同じ出身の語根と組むことが多く、perimeter / periphery はギリシャ語系、circumference / circumstance はラテン語系です。大まかな目安として、科学や幾何の「まわり」を表す語には peri- が、日常的なラテン語系の動詞には circum- が使われる傾向があります。
ambi- も「まわりに/両側に」という意味を持つことがあり(ambient=周囲の)、circum- と重なります。ただし ambi- は「両側」の意味に傾いていて(ambidextrous「両手利きの」、ambiguous「あいまいな」)、circum- はぐるりと一周する輪を表します。
rot-(rotate「回転する」、rotary「回転式の」)は回る・回転することを表し、回転は円を描くので、イメージとしては circ に近い語根です。違いは、rot- が回転という動きそのもの(回っている車輪)を強調するのに対し、circ- は丸い道筋や形そのもの(車輪が描く円)を強調する点です。
関連する単語 · 57
search
探す、捜索する;捜索、検索
circle
円、輪;旋回する、囲む
circumstance
事情、状況;境遇
cycle
循環、周期;自転車に乗る
circuit
回路;巡回、一周
circulation
血液循環;流通、普及;発行部数
recycle
リサイクルする、再利用する
circulate
循環する;流通する、広める
circus
サーカス;大騒ぎ
circular
円形の、循環の;回覧、ちらし
cyclist
自転車に乗る人、サイクリスト
encyclopedia
百科事典
encircle
取り囲む、包囲する
circumvent
回避する、巧みに逃れる
cyclical
周期的な、循環的な
circumstantial
状況による;(証拠が)状況的な、間接的な
circuitry
電子回路、回路網
circumference
円周;周囲の長さ
cyclone
サイクロン、暴風
recyclable
リサイクル可能な、再利用できる
semicircle
半円
bicyclist
自転車に乗る人
circulatory
循環の、血液循環の
encyclopedic
百科事典的な、博識な