crit
ギリシャ語 Greek分ける、見分ける、判断する
この語根について
語根 crit はギリシャ語の動詞 krinein から来ています。この動詞はもともと、とても物理的な意味をもっていました。「分ける」です。穀物をもみ殻からふるい分けたり、山の中から一つを選び出したりすることです。この「分ける」という行為から 見分ける という考えが育ち、見分けることから 判断する という考えが育ちました。良いものと悪いもの、本当のことと偽りを分けるわけです。この「分ける」ことに長けた人が kritēs、つまり裁く人でした。
英語は krinein から、「判断」を中心とした一族をまるごと受け継ぎました。
- critic:kritēs、つまり判断する人です。もともとは品質を見きわめる人全般を指していましたが、今では特に芸術・本・映画などを評する批評家を指します。
- criticize:critic がすること、つまり物事の長所と短所を見きわめることです。日常では否定的な意味(欠点を指摘する、非難する)に傾きがちですが、語根の意味としては中立的な評価です。
- criticism:判断する行為、またはその結果です。
- critical:ここで一族は2つの方向に枝分かれします。「判断する」からは「あら探しをしがちな」(a critical remark=批判的な発言)や「注意深い判断を伴う」(critical thinking=批判的思考)という意味が生まれました。ところが critical は crisis(下を参照)からもう一つの意味を得ています。「転換点にある、決定的な」という意味で、critical moment(重大な局面)や critical condition(危篤状態)の患者のように使います。
- criterion / criteria:kritērion は文字どおり「判断するための手段」、つまり物事を測る基準のことでした。criteria はそのギリシャ語式の複数形です。現代英語では、単数形よりも複数形のほうがずっとよく使われます。
- critique:のちにフランス語を通して入ってきた単語で、改まった、文章による判断のことです。単なるあら探しではなく、詳しい評価を指します。
見た目の意味から少し離れたメンバーも2つあります。
- crisis はギリシャ語の krisis「決定、転換点」から来ています。krisis とは、判断を下さなければならない決定的な瞬間のことでした。医学では、病気の中で患者が回復に向かうか死に向かうかが決まる時点を指しました。英語は「決定の瞬間」という意味を「深刻な危険や困難の時」へと絞り込みました。それでも判断の意味は内側に埋まっています。crisis とは、すべてがあなたの決断にかかっている時なのです。
- hypocrisy は一族いちばんの意外な単語です。hypo-「下に」と krinein が結びついています。古代ギリシャで hypokritēs とは 役者 のことでした。舞台の仮面の 下から 受け答えをし、自分ではない役を演じる人です。「仮面の陰で演じる人」から、現代の意味へと移っていきました。実際には持っていない美徳や信念を持っているふりをする人、つまり偽善者です。hypocrisy は文字どおりには、仮面の下で役を演じることなのです。
一族全体を貫く糸は、判断するために分けるという行為です。critic は品質を判断し、criteria は判断に使う物差しであり、crisis は判断を迫られる瞬間であり、hypocrite(偽善者)は、人前で見せる善悪の判断が、本当の姿を覆う仮面になっている人なのです。
天びんを持って、良いものと悪いものを分けている裁き手(ギリシャ語の kritēs)を思い浮かべてください。crit の単語はどれも、この「判断する」行為を軸にしています。critic は判断する人、criteria は判断の基準、criticism は下された評価、そして crisis は判断を先延ばしにできない瞬間です。hypocrisy は、仮面の 下(hypo-)から演じるギリシャの役者、つまり自分ではない誰かのふりをする人を思い出しましょう。
代表的な単語を詳しく
同じ語根を持つ単語の中から、特に語る価値のある数語を選び、その成り立ちを一つずつひもときます。
critical2つの異なる流れを受け継いでいるため、一族の中でいちばん意味を背負い込んでいる単語です。krinein「判断する」からは日常的な意味が生まれました。「あら探しをしがちな」(don't be so critical=そんなに批判的にならないで)と「注意深い分析を伴う」(critical thinking=批判的思考、a critical reading=批判的な読み)です。krisis「転換点」からは2つ目の意味が生まれました。「決定的な、重大な局面にある」(a critical moment=重大な局面、critical mass=臨界量、in critical condition=危篤状態で)です。どちらの意味かは文脈でわかります。人や考えを判断しているなら「批判的・分析的」、状況や患者を描写しているなら「重大な・危険な」です。
2つの異なる流れを受け継いでいるため、一族の中でいちばん意味を背負い込んでいる単語です。krinein「判断する」からは日常的な意味が生まれました。「あら探しをしがちな」(don't be so critical=そんなに批判的にならないで)と「注意深い分析を伴う」(critical thinking=批判的思考、a critical reading=批判的な読み)です。krisis「転換点」からは2つ目の意味が生まれました。「決定的な、重大な局面にある」(a critical moment=重大な局面、critical mass=臨界量、in critical condition=危篤状態で)です。どちらの意味かは文脈でわかります。人や考えを判断しているなら「批判的・分析的」、状況や患者を描写しているなら「重大な・危険な」です。
critical を見るcriteria目の前に隠れている文法の落とし穴です。criteria は criterion のギリシャ語式の複数形です。基準が一つなら criterion、複数なら criteria。ですから「the main criteria is...」は厳密には誤りで、criterion とするべきです。ネイティブスピーカーでもよく間違えますが、安全なのは次のやり方です。2つ以上数えられるなら criteria + are、物差しが一つだけなら criterion + is を使いましょう。
目の前に隠れている文法の落とし穴です。criteria は criterion のギリシャ語式の複数形です。基準が一つなら criterion、複数なら criteria。ですから「the main criteria is...」は厳密には誤りで、criterion とするべきです。ネイティブスピーカーでもよく間違えますが、安全なのは次のやり方です。2つ以上数えられるなら criteria + are、物差しが一つだけなら criterion + is を使いましょう。
criteria を見るcrisis判断の意味は埋もれていますが、確かに存在しています。ギリシャ語の krisis は「決定」、つまり転換点のことで、古代の医学では病気が回復か死かのどちらかに傾く、まさにその瞬間を指しました。英語は「転換点」という意味を残しつつ、それを「深刻な危険や困難の時」という暗い意味に変えました。その医学的な過去は、health crisis(健康危機)のような表現に残っています。不規則な複数形にも注意しましょう。one crisis, two crises(/ˈkraɪsiːz/)です。
判断の意味は埋もれていますが、確かに存在しています。ギリシャ語の krisis は「決定」、つまり転換点のことで、古代の医学では病気が回復か死かのどちらかに傾く、まさにその瞬間を指しました。英語は「転換点」という意味を残しつつ、それを「深刻な危険や困難の時」という暗い意味に変えました。その医学的な過去は、health crisis(健康危機)のような表現に残っています。不規則な複数形にも注意しましょう。one crisis, two crises(/ˈkraɪsiːz/)です。
crisis を見るhypocrisy一族でいちばん風変わりなメンバーです。hypo-(下に)+ krinein(判断する/演じる)で hypokritēs となり、古代ギリシャ語では役者を意味しました。舞台の仮面の下から語り、役を演じる人です。自分ではない人物を演じることが、持っていない美徳を持っているふりをすることへと移っていきました。つまり hypocrite(偽善者)とは、文字どおり「仮面の下で演じる人」です。その人が口にする善悪の判断は、本当の姿を覆う衣装なのです。
一族でいちばん風変わりなメンバーです。hypo-(下に)+ krinein(判断する/演じる)で hypokritēs となり、古代ギリシャ語では役者を意味しました。舞台の仮面の下から語り、役を演じる人です。自分ではない人物を演じることが、持っていない美徳を持っているふりをすることへと移っていきました。つまり hypocrite(偽善者)とは、文字どおり「仮面の下で演じる人」です。その人が口にする善悪の判断は、本当の姿を覆う衣装なのです。
hypocrisy を見る関連する語根
どちらも「判断する」をめぐる語根ですが、出どころの言語が違います。crit はギリシャ語(krinein「見分ける、判断する」)で、critic、criterion、critique などを生みました。jud はラテン語(judex「裁判官」)で、judge、judicial、prejudice などを生みました。見分け方:芸術・基準・評価に関する単語は crit、法廷や法律に関する単語は jud であることが多いです。
ラテン語の動詞 cernere(「ふるいにかける、分ける、区別する」)は、ギリシャ語 krinein と同じ祖先をもつ双子で、どちらも「分ける」を意味する古い語根にさかのぼります。cern からは discern、concern、secret(se- + cern=「分けて別にしておく」)が生まれ、crit からは critic、crisis が生まれました。ふるい分けるという同じ元の考えが、2つの言語の道に分かれたのです。