trib
ラテン語 Latin部族;割り当てる、与える
この語根について
語根 trib の物語は、人の数を数えるところから始まります。ローマが建国されたとき、人々は 3つ の始祖集団に分けられていたと言われ、ラテン語の tribus(部族)は伝統的に trēs「3」と結びつけて説明されてきました。この計算が文字どおり正しいかどうかはともかく、大事なのは tribus が果たした役割です。tribus は、ローマが市民を組織するための単位でした。兵士は部族ごとに徴集され、票は部族ごとに数えられ、そして何より、税や土地は部族ごとに 分けられ、配られた のです。
この行政上の行為から、ラテン語の動詞 tribuere が生まれました。意味は「割り当てる、配分する、各自の取り分として与える」です。これがこの語族全体の要(かなめ)になります。trib を「配分する・与える」と捉えれば、抽象的な単語も接頭辞によってすっきり理解できます。
- dis-(離れて、あちこちへ)+ tribuere → distribute:あちこちへ配る、大勢に分け与える。名詞 distribution は、その「行き渡らせること」そのものです。
- con-(一緒に)+ tribuere → contribute:一人ひとりが自分の取り分を共同の鍋の 中へ 出し合う。名詞 contribution は、あなたが出したもののことです。
- at-/ad-(〜へ)+ tribuere → attribute:ある性質を誰か に 割り当てる。(この系統は tribut の語根で詳しく扱います。)
- re-(元へ)+ tribuere → retribution:借りを 返す こと、つまり「返される取り分」としての罰です。(これも tribut で扱います。)
語族のもう半分は、社会的な意味をそのまま残しました。tribe は tribus そのもので、tribal はその形容詞「部族の」です。現代英語では tribe の意味がゆるやかに広がり、「自分の仲間」を指すこともあります。find your tribe は「自分の居場所となる仲間を見つける」という意味です。同じローマの政治世界からは、tribune(部族によって、部族のために選ばれた役人。tribunus plebis は平民の保護者でした)や tribunal(もとは tribune が座って裁きを行った高い壇のことで、今では法廷一般)も生まれています。
つまり、この語族には分かれ道が一つあります。何かが 与えられる・分け合われる 系統(distribute、contribute、attribute、tribute)と、人の集団 を名づける系統(tribe、tribal、tribune)です。どちらも、同じローマの「人数の数え上げ」にさかのぼります。
一つ注意があります。tribulation は 一見 この仲間に見えますが、違います。これはラテン語の tribulum(穀物を押しつぶす脱穀用のそり)から来ており、さらに terere「こする、すりつぶす」にさかのぼります。苦難を「すりつぶされること」と捉えた言葉です。つづりは同じでも、語根は無関係です。
古代ローマで土地が 部族ごとに 配られる場面を思い浮かべてください。それが trib「取り分を割り当てる」です。distribute は取り分をあちこちへ配ること、contribute はみんなが取り分を 出し合う こと。そして tribe は、その取り分を受け取る集団のことです。
代表的な単語を詳しく
同じ語根を持つ単語の中から、特に語る価値のある数語を選び、その成り立ちを一つずつひもときます。
tribe語根のいちばん純粋な形です。tribus は、ローマの民を分けた始祖集団の一つでした。英語は「血筋で結ばれた社会集団」という文字どおりの意味を残しつつ、比喩的にも広げました。find your tribe は「自分がしっくりくる仲間を見つける」という意味で、血のつながりは必要ありません。二千年の時を隔てた、同じ一つの単語です。
語根のいちばん純粋な形です。tribus は、ローマの民を分けた始祖集団の一つでした。英語は「血筋で結ばれた社会集団」という文字どおりの意味を残しつつ、比喩的にも広げました。find your tribe は「自分がしっくりくる仲間を見つける」という意味で、血のつながりは必要ありません。二千年の時を隔てた、同じ一つの単語です。
tribe を見るdistributedis-(離れて、あちこちへ)+ tribuere(割り当てる)で、「取り分をあちこちへ配る」となります。ローマでは文字どおり、穀物や土地を大勢の受け手に分ける場面でした。今ではチラシを配ることから分散型のコンピューターネットワーク(distributed network)まで幅広く使われますが、いつも「一つの出どころから、多くの行き先へ」というイメージです。
dis-(離れて、あちこちへ)+ tribuere(割り当てる)で、「取り分をあちこちへ配る」となります。ローマでは文字どおり、穀物や土地を大勢の受け手に分ける場面でした。今ではチラシを配ることから分散型のコンピューターネットワーク(distributed network)まで幅広く使われますが、いつも「一つの出どころから、多くの行き先へ」というイメージです。
distribute を見るcontributecon-(一緒に)+ tribuere(取り分を与える)で、「みんなが自分の取り分を共同の蓄えに出し合う」となります。distribute とは向きが逆なことに注目してください。distribute は取り分を *外へ* 送り出し、contribute は取り分を *中へ* 集めます。contribute to(〜の一因となる)という弱まった意味でもイメージは同じで、より大きな結果に自分の分を少し足すということです。
con-(一緒に)+ tribuere(取り分を与える)で、「みんなが自分の取り分を共同の蓄えに出し合う」となります。distribute とは向きが逆なことに注目してください。distribute は取り分を *外へ* 送り出し、contribute は取り分を *中へ* 集めます。contribute to(〜の一因となる)という弱まった意味でもイメージは同じで、より大きな結果に自分の分を少し足すということです。
contribute を見るtribaltribe + -al で「部族に関する」という、ごく単純な成り立ちです。ただし、強い含みを持つ比喩的な使い方も生まれている点は押さえておきましょう。tribal politics や tribalism は、理性を押しのけるほど強い集団への忠誠心を指します。語根の社会的な意味が、批判の言葉に転じた例です。
tribe + -al で「部族に関する」という、ごく単純な成り立ちです。ただし、強い含みを持つ比喩的な使い方も生まれている点は押さえておきましょう。tribal politics や tribalism は、理性を押しのけるほど強い集団への忠誠心を指します。語根の社会的な意味が、批判の言葉に転じた例です。
tribal を見る関連する語根
どちらも同じラテン語の動詞 tribuere から来ています。trib は「割り当てる・配る」系統(distribute、contribute)と「部族」系統を担い、tribut は「〜に帰する・支払う」系統を担います(tribute、attribute、retribution)。物を配ることや集団の名前なら trib、支払いや誰かに帰せられる性質なら tribut と考えましょう。
どちらも「分ける」ことに関わります。part(pars から)は分けられた部分そのものに注目します(a part、partition、depart)。trib は、その部分を割り当てられた取り分として配ることに注目します(distribute、contribute)。部分そのものなら part、部分を配るなら trib です。
どちらも「与える」という意味です。don(dōnāre から)は贈り物として、見返りなしに一方的に与えることです(donate、donation、pardon)。trib は、仕組みの中で配分された取り分として与えることです(distribute funds、contribute to a fund)。無償の贈り物なら don、割り当てられた取り分なら trib です。