val
ラテン語 Latin強い、価値がある
この語根について
語根 val は、ラテン語の valēre から来ています。驚くほど守備範囲の広い動詞で、中心にある意味は 「強い、元気である、価値がある」 でした。健康なローマの兵士は valēbat、つまり体が丈夫で力強い状態でした。硬貨も valēbat、つまり一定の価値がありました。同じ一つの言葉が体の強さ、健康、金銭的な価値をまとめて表していたのは、ローマ人にとってそれらがすべて同じものの別の形だったからです。力を持っていること、持ちこたえること、ものの数に入ること。
valēre の「価値」の側から、英語はもっとも大きな val の語族、value のグループを作りました。
- value = ものの価値
- valuable = 大きな価値がある
- invaluable = あまりに貴重で、価値を測ることすらできない(ここの in- は「[測れ]ない」という意味で、「価値がない」ではありません)
- evaluate = e-(外へ)+ value → 価値を 引き出す、どれほどの価値があるかを判断する
- devalue / undervalue / overvalue = 価値を引き下げる、低く見積もりすぎる、高く見積もりすぎる
「立っていられるほど強い」の側からは、valid のグループが生まれました。valid なものは、厳しい検証にも持ちこたえるだけの強さがあります。valid な議論は崩れず、valid な切符は法的に有効です。invalid は持ちこたえられず、validate は持ちこたえさせ、validity は持ちこたえる性質です。
接頭辞を加えると、「より強い」という意味から三つめのグループが生まれます。
- pre-(前に、先に)+ valēre → prevail:ほかより強い、勝ち残る。ここから prevalent / prevailing / prevalence は、今まさに「勝っている」もの、つまり支配的で広く行き渡っているものを表します。
- equ-(等しい)+ val → equivalent:価値や強さが 等しい。
- ambi-(両方)+ val → ambivalent:両方 の向きに同じ力で引っぱられている、だから心が揺れて決めかねている。
- avail(古フランス語経由、ad-「〜へ」+ valēre)→ 誰か にとって 価値がある、役に立つ。available = 使うことができる。
「強さ」の意味からは、フランス語経由で勇気を表す言葉も生まれました。valiant と valor、戦場での心の強さです。そして医学は convalesce(con- + valēscere「強くなる」)に「健康」の意味を残しました。病気のあと、少しずつ再び強くなっていく、という意味です。
最後に、意外なメンバーを一つ。ローマ人は別れのあいさつに 「Valē!」 と言いました。文字どおりには 「強くあれ!/元気で!」 という命令で、英語の take care にあたります。このささやかな別れの言葉は、valediction(vale + dicere「言う」=別れを告げること)や、アメリカの valedictorian(卒業式で別れのスピーチをする卒業生総代)の中に生き残っています。ダイヤモンドの値段をつけ、契約を有効にするのと同じ語根が、最後の「さようなら」もそっとささやいているのです。
中心に value(価値)を置いてみましょう。val のつく言葉はどれも「どれだけ価値があるか、どれだけしっかり立っていられるか」の話です。valuable な宝石(価値が高い)、valid な切符(有効で通用する)、prevail(いちばん強くて勝ち残る)。ローマ人の別れのあいさつ「Valē!」でさえ、「強くあれ」=元気でね、という意味でした。
代表的な単語を詳しく
同じ語根を持つ単語の中から、特に語る価値のある数語を選び、その成り立ちを一つずつひもときます。
value語族全体の要となる単語です。ラテン語の valēre は「価値がある」を意味したので、value は文字どおり「価値そのもの」です。英語では二つに分かれる点に注目しましょう。名詞では、ものにどれだけの価値があるか(the value of a house)。動詞では、何かを価値あるものとして扱う行為(I value your honesty=あなたの誠実さを大切に思う)。複数形の values になると道徳の話に移り、人が大切に持ち続ける価値あるもの、つまり価値観を指します。
語族全体の要となる単語です。ラテン語の valēre は「価値がある」を意味したので、value は文字どおり「価値そのもの」です。英語では二つに分かれる点に注目しましょう。名詞では、ものにどれだけの価値があるか(the value of a house)。動詞では、何かを価値あるものとして扱う行為(I value your honesty=あなたの誠実さを大切に思う)。複数形の values になると道徳の話に移り、人が大切に持ち続ける価値あるもの、つまり価値観を指します。
value を見るvalidvalēre「強い」から来ています。valid な議論とは、反論を受けても立っていられるほど強い議論のことです。イメージは建物の構造のようなもので、弱い主張は崩れ、valid な主張は持ちこたえます。だから valid は論理(a valid deduction)、法律(a valid contract)、日常(a valid point=もっともな指摘)にまたがって使われるのです。どの場合も「持ちこたえる」という意味です。
valēre「強い」から来ています。valid な議論とは、反論を受けても立っていられるほど強い議論のことです。イメージは建物の構造のようなもので、弱い主張は崩れ、valid な主張は持ちこたえます。だから valid は論理(a valid deduction)、法律(a valid contract)、日常(a valid point=もっともな指摘)にまたがって使われるのです。どの場合も「持ちこたえる」という意味です。
valid を見るprevailpre-(先に、前に)+ valēre(強い)で、「いちばん強い、勝ち残る」となります。ここから二つの意味が育ちました。「勝つ」(justice will prevail=正義は勝つ、強さが最後に勝る)と、「広く行き渡っている」(the prevailing wind=卓越風、the prevailing opinion=大勢を占める意見。その場で「勝った」支配的なもの)です。prevail upon someone は三つめの、より古い意味で、説得の力を使って誰かに何かをさせる、ということです。
pre-(先に、前に)+ valēre(強い)で、「いちばん強い、勝ち残る」となります。ここから二つの意味が育ちました。「勝つ」(justice will prevail=正義は勝つ、強さが最後に勝る)と、「広く行き渡っている」(the prevailing wind=卓越風、the prevailing opinion=大勢を占める意見。その場で「勝った」支配的なもの)です。prevail upon someone は三つめの、より古い意味で、説得の力を使って誰かに何かをさせる、ということです。
prevail を見るambivalentambi-(両方)+ val(強さ)で、強い気持ちが同時に両方向へ引っぱり合っている状態です。1910年ごろにある精神科医が作った言葉で、どうでもいいという軽い無関心ではありません。同じことを本気で望み、同時に望まない、という緊張状態です。仕事のオファーに対して、受けたい気持ちも断りたい気持ちもどちらも強いとき、あなたは ambivalent なのです。
ambi-(両方)+ val(強さ)で、強い気持ちが同時に両方向へ引っぱり合っている状態です。1910年ごろにある精神科医が作った言葉で、どうでもいいという軽い無関心ではありません。同じことを本気で望み、同時に望まない、という緊張状態です。仕事のオファーに対して、受けたい気持ちも断りたい気持ちもどちらも強いとき、あなたは ambivalent なのです。
ambivalent を見るconvalescecon-(強意)+ valēscere(強くなる)で、「少しずつ再び強くなる」となります。この語は valēre のもっとも古い意味、体の健康と強さを今に伝えています。手術のあとに convalesce するとは、すぐに回復することではなく、力がゆっくり戻ってくる過程のことです。convalescent home(療養所)は、そのゆっくりとした回復が行われる場所です。
con-(強意)+ valēscere(強くなる)で、「少しずつ再び強くなる」となります。この語は valēre のもっとも古い意味、体の健康と強さを今に伝えています。手術のあとに convalesce するとは、すぐに回復することではなく、力がゆっくり戻ってくる過程のことです。convalescent home(療養所)は、そのゆっくりとした回復が行われる場所です。
convalesce を見る関連する語根
どちらも強さに関わりますが、val(valēre)は強い、元気である、価値があるという、内側に備わった力の話です(valid、value、prevail)。firm(firmus)は、しっかりして揺るがないこと、つまり物理的・構造的な堅固さの話です(confirm、affirm)。見分け方:価値や力なら val、安定なら firm です。
同じ語根ではありませんが、一つの語族の中で結びついています。valediction / valedictorian = vale(val「元気で/さようなら」)+ dic(言う)です。val の部分が「元気で」という別れのあいさつを、dic の部分が「言うこと」を担っています。
関連する単語 · 48
value
価値;重要性;尊重する
available
利用できる、入手できる;手が空いている
evaluate
評価する
evaluation
評価
valuable
高価な;貴重な;貴重品
equivalent
同等の、相当する;同等のもの
validity
妥当性;有効性
valid
妥当な、根拠のある;有効な
prevail
勝つ、優勢である;普及している
prevalent
広く行き渡った、流行している
prevalence
普及、蔓延;有病率
validate
有効と認める、立証する;検証する
ambivalence
相反する感情、両面価値
invaluable
非常に貴重な、計り知れない価値のある
ambivalent
相反する感情を持つ、どっちつかずの
valuation
評価、査定、価格算定
devalue
(通貨を)切り下げる;価値を下げる
avail
役立つ;効用、利益
invalidate
無効にする;誤りを立証する
devaluation
(通貨の)切り下げ;価値の低下
valiant
勇敢な、雄々しい
invalid
無効な;病人、病弱者
valor
(特に戦場での)勇気、武勇
undervalue
過小評価する、軽視する