ven
ラテン語 Latin来る、到着する
この語根について
ラテン語の venīre は、単に「来る」、つまりある場所へ向かって移動する、到着する、という意味でした。考えうる限りもっともありふれた動詞の一つですが、ローマ人は接頭辞をつけることで、これを抽象的な考えを生み出す装置に変えてしまいました。この語族全体を理解するコツは、一つひとつの単語を「来る」という小さな場面として読み、誰が、どの方向から来るのかを問うことです。
現在形の語幹 ven が現れる単語もありますが、過去分詞 ventum に由来する語幹 vent が現れる単語のほうがずっと多くあります。どちらも同じ語根で、つづりが二通りあるだけです。
接頭辞が「来る」の向きをどう操るか見てみましょう。
- con-(一緒に)+ venīre → convene:人々が一緒に来る、集まる。同じ語根から convenient(物事がうまく一緒にやって来る、つまり都合がよい)や convention(一緒に来ること。大きな会議のことも、みんなが「歩み寄って」合意した慣習のことも指します)が生まれています。
- prae-(前に、先に)+ venīre → prevent:何かの前に来て、その行く手に立ちふさがる。もとは「先に来る」でしたが、「妨げる」の意味が主流になりました。
- in-(中に、上に)+ venīre → invent:何かに行き当たる。inventor とは、それまで誰もたどり着かなかったアイデアに「行き当たった」人です。(inventory も同じで、在庫を確認するときに一つひとつ「行き当たる」ものの一覧です。)
- inter-(間に)+ venīre → intervene:二者や二つの出来事の間に入って来る。
- e-/ex-(外へ)+ venīre → event:文字どおり「外に出て来るもの」。結果、そしてあらゆる出来事の意味になりました。eventually は「最後に、ついに結果が出てきたときに」という意味です。
- ad-(〜へ向かって)+ venīre → advent と adventure:自分のほうへやって来るもの。advent は到来そのもの、adventure は「これから起ころうとしていること」でした。これから起こることには危険がつきものなので、大胆な冒険という意味へと移っていきました。
- re-(元へ)+ venīre → revenue:自分のもとへ「戻って来る」お金、つまり見返り、収入です。
- circum-(周りを)+ venīre → circumvent:障害物の周りを回って来る、回り込んで切り抜ける。
- contra-(逆らって)+ venīre → contravene:規則に逆らって来る、つまり違反する。
「来る」が埋もれているため、よく見ておきたいメンバーが三つあります。
- avenue はフランス語を経て advenīre から来ています。ある場所へやって来るための道、そこから堂々とした並木の大通りになりました。venue はその親戚で、人々がやって来る場所です(もとは訴訟が裁判のために「持ち込まれる」場所)。
- souvenir はフランス語を経てラテン語の subvenīre「上がって来る」(sub- + venīre)から来ています。記憶が心に浮かび上がって来ることに使われた言葉です。souvenir(おみやげ、スーベニア)とは、記憶をよみがえらせてくれる品物なのです。
- provenance は prōvenīre「前へ出て来る」から来ています。ものがどこから出て来たか、つまり出所、由来です。
一つ注意があります。見た目が似ていても、この語根ではないものがいくつかあります。venus、venereal、venerate、veneration はラテン語の venus(愛、欲望)にさかのぼり、venīre ではありません。まったく別の語族です。また abstention は tenēre(保つ)、つまり tain/ten の語根から来ており、venīre とはまったく関係ありません。迷ったら意味で確かめましょう。来る、到着する、起こることなら ven、愛や保持のことなら違います。
ven / vent のつく単語はどれも「来る」という小さな場面で、接頭辞がその向きを教えてくれます。con- は一緒に来る(convene)、pre- は先に来てふさぐ(prevent)、in- はアイデアに行き当たる(invent)、inter- は間に入って来る(intervene)、e- は結果として出て来る(event)、re- はお金が戻って来る(revenue)。まず「到着」の場面を思い浮かべ、あとは接頭辞に向きを示してもらいましょう。
代表的な単語を詳しく
同じ語根を持つ単語の中から、特に語る価値のある数語を選び、その成り立ちを一つずつひもときます。
inventin-(上に)+ venīre(来る)で「行き当たる」となります。inventor は無から何かを作るのではありません。もともとのイメージは、それまで誰もたどり着かなかったアイデアにふと出くわす、つまり行き当たることです。同じイメージは inventory にも隠れています。在庫を確認しながら品物一つひとつに「行き当たって」作る一覧です。つまり「生み出すこと」と「数えること」が、ものにたどり着くという一つの場面を共有しているのです。
in-(上に)+ venīre(来る)で「行き当たる」となります。inventor は無から何かを作るのではありません。もともとのイメージは、それまで誰もたどり着かなかったアイデアにふと出くわす、つまり行き当たることです。同じイメージは inventory にも隠れています。在庫を確認しながら品物一つひとつに「行き当たって」作る一覧です。つまり「生み出すこと」と「数えること」が、ものにたどり着くという一つの場面を共有しているのです。
invent を見るpreventprae-(前に)+ venīre(来る)で「先に来る」となります。もとは単に誰かより先に着くことを意味していました。しかし先に着いて戸口に陣取れば、やって来るものをふさぐことになります。この「妨げる」意味が古い意味を飲み込み、今の prevent は、何かが起こるのを防ぐことだけを表すようになりました。先回りして、行く手に立ちはだかったわけです。
prae-(前に)+ venīre(来る)で「先に来る」となります。もとは単に誰かより先に着くことを意味していました。しかし先に着いて戸口に陣取れば、やって来るものをふさぐことになります。この「妨げる」意味が古い意味を飲み込み、今の prevent は、何かが起こるのを防ぐことだけを表すようになりました。先回りして、行く手に立ちはだかったわけです。
prevent を見るadventuread-(〜へ向かって)+ venīre(来る)で、「自分のほうへやって来ようとしているもの」、つまりこれから来ることを表します。古フランス語の aventure は、はじめ偶然、運命、身に降りかかることを意味していました。身に降りかかることは不確かで危険なことも多いため、この語は「これから起こる出来事」から「大胆で危険な企て」へと意味を移していきました。より素朴な兄弟分の advent は、「到来」というむき出しの意味を保っています(the advent of the internet=インターネットの到来)。
ad-(〜へ向かって)+ venīre(来る)で、「自分のほうへやって来ようとしているもの」、つまりこれから来ることを表します。古フランス語の aventure は、はじめ偶然、運命、身に降りかかることを意味していました。身に降りかかることは不確かで危険なことも多いため、この語は「これから起こる出来事」から「大胆で危険な企て」へと意味を移していきました。より素朴な兄弟分の advent は、「到来」というむき出しの意味を保っています(the advent of the internet=インターネットの到来)。
adventure を見るsouvenirラテン語の subvenīre、sub-(下から上へ)+ venīre(来る)=「上がって来る」から来ています。記憶が心に浮かび上がってくることに使われた言葉です。フランス語はこの動詞を、その記憶を浮かび上がらせるものを指す名詞にしました。つまり souvenir とは、文字どおり記憶が「よみがえる」きっかけです。浜辺の貝殻、チケットの半券など、過去をもう一度浮かび上がらせることだけが役目の小さな品物なのです。
ラテン語の subvenīre、sub-(下から上へ)+ venīre(来る)=「上がって来る」から来ています。記憶が心に浮かび上がってくることに使われた言葉です。フランス語はこの動詞を、その記憶を浮かび上がらせるものを指す名詞にしました。つまり souvenir とは、文字どおり記憶が「よみがえる」きっかけです。浜辺の貝殻、チケットの半券など、過去をもう一度浮かび上がらせることだけが役目の小さな品物なのです。
souvenir を見るrevenuere-(元へ)+ venīre(来る)で「戻って来るもの」となります。世の中に送り出したお金、たとえば支払った賃金や売った商品が、見返りとして自分のもとへ流れ戻ってくる場面を思い浮かべてください。この「戻って来る」から金融の意味が生まれました。会社の revenue は事業活動から戻って入ってくる収入、政府の revenue は国へ流れ戻る税収です。
re-(元へ)+ venīre(来る)で「戻って来るもの」となります。世の中に送り出したお金、たとえば支払った賃金や売った商品が、見返りとして自分のもとへ流れ戻ってくる場面を思い浮かべてください。この「戻って来る」から金融の意味が生まれました。会社の revenue は事業活動から戻って入ってくる収入、政府の revenue は国へ流れ戻る税収です。
revenue を見る関連する語根
ven/vent は venīre(来る)から、tain/ten は tenēre(保つ、持ち続ける)から来ています(contain、retain、maintain、abstain)。本来無関係ですが、vent と tent の語尾が似ているため混同されやすく、abstention(tenēre から)のような単語が ven の仲間と誤解されることがあります。見分け方:来る・到着する・起こることなら ven、保つ・持ち続けることなら tain です。
どちらも何かに向かう動きを表せますが、ven(来る)は到着すること・起こることを強調し、ced/cess(cedere「行く、譲る」から)は進むこと、踏み出すこと、道を譲ることを強調します(proceed、access、recede)。見分け方:来る・到着するなら ven、行く・踏み出す・譲るなら cess です。
関連する単語 · 84
event
出来事;行事、イベント
prevent
防ぐ、妨げる
eventually
結局、ついに
revenue
収入、収益;歳入
intervention
介入、干渉
convention
大会、集会;慣習;協定
conventional
従来の、慣習的な;ありきたりの
adventure
冒険;思いがけない体験
venture
思い切って〜する;冒険的事業
invent
発明する;でっち上げる
prevention
防止、予防
inventory
在庫、在庫目録;棚卸しをする
invention
発明、発明品;作り話
convenience
便利さ、好都合;便利なもの
intervene
介入する、干渉する;仲裁する
avenue
大通り、並木道;手段、方法
convenient
便利な、都合のよい
venue
開催地、会場
eventual
最終的な、結果として起こる
preventive
予防の;予防策
vent
通気口、排気口;(感情を)ぶちまける
convene
召集する;集まる、会合する
souvenir
記念品、土産
advent
到来、出現