lat
ラテン語 Latin運ぶ、持ってくる
この語根について
語根 lat はカメレオンのような存在です。日常的な単語の中に何十も隠れているのに、port や scrib のような「いかにも語根らしい」姿をしていません。それは、lat がふつうの意味での動詞の語幹ではなく、いわば「名残り」だからです。
ラテン語には ferre「運ぶ、持つ」という動詞がありました。ところが ferre はきわめて不規則な動詞でした。現在形からは語根 fer が生まれました(transfer、refer、prefer)。しかし過去分詞のほうは、まったく別の語幹から来ていたのです。それが lātus「運ばれた、持ってこられた」です。これを「補充法」といいます。英語の go の過去形 went が、まったく関係のない別の単語から来ているのと同じしくみです。つまり fer と lat は一つの動詞の二つの半分で、fer =「運ぶ」、lat =「運ばれた」なのです。
lātus はすでに「持ってこられた、運ばれた」という意味を持っていたので、ラテン語はこれに接頭辞をつけて単語の一家を作りました。接頭辞は、何かが「どこへ」運ばれたのかを教えてくれます。
- re-(元へ)+ lātus → relate:互いのところへ運び戻されたもの、つまり「関係している」。物語を relate する(語る)とは、出来事を聞き手のもとへ運び届けることです。
- trans-(越えて)+ lātus → translate:意味をある言語から別の言語へ運び渡すこと、つまり「翻訳する」。
- cor-(一緒に)+ lātus → correlate:二つのものが並んで運ばれ、一緒に動くこと、つまり「相関する」。
- super-(上に)+ lātus → superlative:ほかのすべての上へ運ばれた性質、つまり「最上級」。
- e-/ex-(上へ、外へ)+ lātus → elation:上へ運ばれて喜びへと持ち上げられた気持ち、つまり「高揚、大喜び」。
- ob-(〜のほうへ)+ lātus → oblation:神のもとへ運ばれ、捧げられるもの、つまり「供え物」。
- di-(離れて)+ lātus → dilatory:物事を時間的に引き離して運ぶこと、つまり先延ばしにする、「遅らせがちな」。
特別な例が一つあります。legislate / legislature です。ここでは lat が lex/legis(法)と結びつき、「法を持ち出す」という意味になります。つづりは似ていますが、これは legere(読む)ではなく lex の一家です。
覚えておきたいパターンはこうです。-late や -lat- が見えて、意味が「運ぶ」「持ってくる」「どこかへ動かす」に関わっていたら、それは ferre の過去分詞です。接頭辞が方向を、lat が「運ぶ」を担当しています。
lat は ferre の「運ばれた」側の半分です。fer が運び、lat は運ばれたもの。translate =意味を向こうへ運ぶ、relate =元へ運んでつなげる、elation =上へ運ばれて喜ぶ。接頭辞が方向で、lat はいつでも「運ぶ」です。
代表的な単語を詳しく
同じ語根を持つ単語の中から、特に語る価値のある数語を選び、その成り立ちを一つずつひもときます。
translate一家の中でいちばん文字どおりのメンバーです。trans-(越えて)+ lātus(運ばれた)で「向こうへ運ばれた」という意味です。意味をある言語で拾い上げ、別の言語に置く、という体の動きのイメージです。同じイメージは数学や物理にも残っていて、translation は図形を回転させずに空間の中で平行移動させること(平行移動)を指します。純粋に「向こうへ運ぶ」ことで、語源の意外性は何もありません。
一家の中でいちばん文字どおりのメンバーです。trans-(越えて)+ lātus(運ばれた)で「向こうへ運ばれた」という意味です。意味をある言語で拾い上げ、別の言語に置く、という体の動きのイメージです。同じイメージは数学や物理にも残っていて、translation は図形を回転させずに空間の中で平行移動させること(平行移動)を指します。純粋に「向こうへ運ぶ」ことで、語源の意外性は何もありません。
translate を見るrelatere-(元へ)+ lātus(運ばれた)で「運び戻された」という意味です。互いのところへ運び戻された二つのものはつながっている、だから related to(〜と関係がある)になります。同じ語根でもう一つの意味も説明できます。物語を relate する(語る)とは、出来事を聞き手のもとへ運び届けることです。そして I can relate(わかるよ、共感できる)は、あなたの経験を自分の中へ運び戻す、ということです。一つのイメージから、日常的な三つの使い方が生まれています。
re-(元へ)+ lātus(運ばれた)で「運び戻された」という意味です。互いのところへ運び戻された二つのものはつながっている、だから related to(〜と関係がある)になります。同じ語根でもう一つの意味も説明できます。物語を relate する(語る)とは、出来事を聞き手のもとへ運び届けることです。そして I can relate(わかるよ、共感できる)は、あなたの経験を自分の中へ運び戻す、ということです。一つのイメージから、日常的な三つの使い方が生まれています。
relate を見るsuperlativesuper-(上に)+ lātus(運ばれた)で「すべての上へ運ばれた」という意味です。文法では最上級(best、biggest)を指します。日常会話で speak in superlatives(最上級で話す)といえば、何でも the greatest、the most amazing と呼んで、最高の言葉を積み重ねることです。ある性質が、ライバルすべての上に持ち上げられているイメージです。
super-(上に)+ lātus(運ばれた)で「すべての上へ運ばれた」という意味です。文法では最上級(best、biggest)を指します。日常会話で speak in superlatives(最上級で話す)といえば、何でも the greatest、the most amazing と呼んで、最高の言葉を積み重ねることです。ある性質が、ライバルすべての上に持ち上げられているイメージです。
superlative を見るelatione-(ex- の変化形、「上へ、外へ」)+ lātus(運ばれた)+ -ion で「上へ運ばれること」です。elated(大喜びの)なとき、気持ちは文字どおり地面から持ち上げられています。on cloud nine(天にも昇る心地で)や walking on air(有頂天で)という表現も、同じ「上へ運ばれる」比喩に基づいています。喜びを、重さのない状態として表しているのです。
e-(ex- の変化形、「上へ、外へ」)+ lātus(運ばれた)+ -ion で「上へ運ばれること」です。elated(大喜びの)なとき、気持ちは文字どおり地面から持ち上げられています。on cloud nine(天にも昇る心地で)や walking on air(有頂天で)という表現も、同じ「上へ運ばれる」比喩に基づいています。喜びを、重さのない状態として表しているのです。
elation を見る関連する語根
fer と lat は、同じラテン語の動詞 ferre が二つの語幹に分かれたものです。fer は現在形(「運ぶ」、transfer、refer)、lat はその不規則な過去分詞(「運ばれた」、translate、relate)です。意味は同じで形が違う、これが補充法です。-fer の単語と -lat/-late の単語を組にできれば(transfer と translation、refer と relate)、二つの半分を両方見ていることになります。
どちらも「運ぶ」という意味ですが、port(portāre)は場所から場所への、具体的で物理的な輸送です(import、export、transport)。lat(ferre から)はもっと抽象的で、意味やつながりや気持ちを運びます(translate、relate、elation)。見分け方:トラックが荷物を運ぶなら port、考えや気持ちが運ばれるなら lat です。