nom
ラテン語 Latin法則、管理、分配
この語根について
ギリシャ語の nomos は、ふだんの意味がどんな英訳ひとつにも収まりきらない語根のひとつです。その核にあるのは 物事の割り当て方 でした。牧人が放牧地をどう分けるか、都市が権力をどう分けるか、慣習が正しいことと間違ったことをどう分けるか、ということです。その背後にある動詞 nemein は、単に「分配する、管理する」という意味でした。そのため nomos は、重なり合う3つの考えを一度に表していました。法則、管理、そして 分配 です。ギリシャ語が複合語を作るとき、この「X を治める原理」というひとつの考えが、前に来る語に結びついていきました。
まずは最もなじみのあるメンバー、economy から始めましょう。ギリシャ語の oikos(家)+ nomos(管理)= oikonomia で、文字どおり「家の管理」、つまり家を切り盛りし、食料をやりくりし、家事を割り振る技術のことです。何世紀も後に、同じ言葉がひとつの家から国全体の資源へと規模を広げ、「家の管理」が「経済」になりました。やりくり上手という意味も消えてはいません。economical であるとは、まさに几帳面な家の切り盛り役のように、資源を慎重に管理すること、つまり「経済的な、節約になる」ということです。
今度は前の部分を入れ替えてみましょう。同じパターンが続きます。auto-(自分)+ nomos(法)= autonomy:自分で定めた法のもとで生きること、つまり自治・自律です。astron(星)+ nomos = astronomy:星の動きを支配する法則、つまり天文学です。taxis(配列、秩序)+ nomos = taxonomy:生物を界・綱・種などに分類する秩序立った体系、つまり分類学です。agros(畑)+ nomos = agronomy:土壌と作物の管理、つまり農学です。どの場合も、前の語が 領域 を示し、nomos が「これはその領域を治める法則・管理です」と告げています。
注意しておきたい例外がひとつあります。nomadic は同じギリシャ語の一族から来ていますが、入り口が違います。nomas は「牧草地を求めてさまよう」という意味で、nemein「分配する、家畜を放牧する」にまっすぐさかのぼります。nomad(遊牧民)とは、家畜に草を食ませるために土地を移動していく人なのです。つまり「さまよう」という意味と「法・管理」という意味は親戚どうしで、どちらも 土地を割り当てる という元の考えから育ったものです。
最後に大事な注意です。この語根は別の語根とそっくりに見えますが、関係はありません。nominate、nominal、denomination の nomin- は、ラテン語の nomen「名前」から来ています。文字は同じでも、起源はまったく違います。意味が 名前 なら nomin-、意味が 法則・体系・管理(economy、autonomy、astronomy)なら、このギリシャ語の nomos です。
economy を、巨大な家を切り盛りしている様子として思い浮かべましょう。oikos(家)+ nomos(管理)です。-nomy で終わる単語はどれも「〜の法則・管理」です。astro-nomy は星の法則、auto-nomy は自分で定める法、taxo-nomy はすべてを分類する体系。nom はある領域のルールブックだと覚えましょう。
代表的な単語を詳しく
同じ語根を持つ単語の中から、特に語る価値のある数語を選び、その成り立ちを一つずつひもときます。
economy語族全体の縮図のような単語です。oikos(家)+ nomos(管理)で「家を切り盛りすること」、つまり食料をやりくりし、家事を割り振ることです。この言葉はひとつの家から国の資源へと規模を広げ、「家の管理」が「経済」になりました。もともとの「やりくり」の意味は economical(節約になる)や economize(節約する)に残っています。無駄が出ないよう慎重に管理することです。
語族全体の縮図のような単語です。oikos(家)+ nomos(管理)で「家を切り盛りすること」、つまり食料をやりくりし、家事を割り振ることです。この言葉はひとつの家から国の資源へと規模を広げ、「家の管理」が「経済」になりました。もともとの「やりくり」の意味は economical(節約になる)や economize(節約する)に残っています。無駄が出ないよう慎重に管理することです。
economy を見るautonomyauto-(自分)+ nomos(法)で、自分で自分に与えた法のもとで生きること。イメージははっきりしています。外から支配されるのではなく、自分でルールを決める地域や人のことです。ここから autonomous(自治の、自律的な)が生まれ、さらに現代のテクノロジーの意味にもつながっています。an autonomous vehicle(自動運転車)は、運転手がいなくても自分の内部のルールで走るのです。
auto-(自分)+ nomos(法)で、自分で自分に与えた法のもとで生きること。イメージははっきりしています。外から支配されるのではなく、自分でルールを決める地域や人のことです。ここから autonomous(自治の、自律的な)が生まれ、さらに現代のテクノロジーの意味にもつながっています。an autonomous vehicle(自動運転車)は、運転手がいなくても自分の内部のルールで走るのです。
autonomy を見るastronomyastron(星)+ nomos(法則)で「星を支配する法則」。astrology(占星術)との違いに注意しましょう。astrology も astron を共有していますが、星が人の運命にとって何を意味するかを問います。astronomy が問うのは、星の動きを支配する法則です。形容詞 astronomical は後に「天文学的な、とてつもなく大きい」という第二の意味を持つようになりました。星と星のあいだの途方もない距離から借りた意味です。
astron(星)+ nomos(法則)で「星を支配する法則」。astrology(占星術)との違いに注意しましょう。astrology も astron を共有していますが、星が人の運命にとって何を意味するかを問います。astronomy が問うのは、星の動きを支配する法則です。形容詞 astronomical は後に「天文学的な、とてつもなく大きい」という第二の意味を持つようになりました。星と星のあいだの途方もない距離から借りた意味です。
astronomy を見るtaxonomytaxis(配列、秩序)+ nomos(法則)で「並べ方の法則」。生物を界・綱・種などに分類する体系的な方法のことです。今では生物学をはるかに超えて使われています。カテゴリーを構造的に整理した体系なら何でも(a content taxonomy コンテンツの分類体系、a taxonomy of errors エラーの分類)、同じ「分類を治める体系」という考えを借りています。
taxis(配列、秩序)+ nomos(法則)で「並べ方の法則」。生物を界・綱・種などに分類する体系的な方法のことです。今では生物学をはるかに超えて使われています。カテゴリーを構造的に整理した体系なら何でも(a content taxonomy コンテンツの分類体系、a taxonomy of errors エラーの分類)、同じ「分類を治める体系」という考えを借りています。
taxonomy を見る関連する語根
つづりは同じでも、起源は無関係です。この nom(ギリシャ語 nomos)は「法則、管理」を意味します(economy、autonomy、astronomy)。もう一方の nomin-(ラテン語 nomen)は「名前」を意味します(nominate、nominal、denomination)。見分け方は、体系や治めるルールの話ならこの nom、名づける話なら nomin- です。
どちらも「法」にかかわりますが、角度が違います。leg(ラテン語 lex / legis)は、破ったり守ったりできる正式な法令としての法です(legal、legislate、legitimate)。nom(ギリシャ語 nomos)は、ある領域全体を治める秩序や管理としての法です(economy、autonomy)。法廷のルールなら leg、ある分野を組み立てる原理なら nom です。
jur(ラテン語 jus / juris)は、権利・正義・誓いという意味での法です(jury、justice、perjury、jurisdiction)。nom は体系と管理としての法です。jur が法廷や権利を指すのに対し、nom はある領域を整理するルールブック(economy、taxonomy)を指します。