prehens
ラテン語 Latinつかむ、捕らえる
この語根について
語根 prehens は、ラテン語の prehendere(過去分詞 prehēnsus)「つかむ、捕らえる、しっかり握る」から来ています。何かを手でぎゅっとつかむ場面を思い浮かべてください。逃げる人を取り押さえる見張り、おもちゃをさっと奪い取る子ども。この「つかむ」というたった一つの動作から、驚くほど大きな単語ファミリーが育ちました。「つかむ」は、頭の働きを表すたとえとしてもぴったりだったからです。
いちばん大きな飛躍は、「手でつかむ」から「頭でつかむ」への移り変わりです。日本語でも「要点をつかむ」と言いますね。英語でもアイデアを grasp(つかむ)すると言い、ラテン語はこのたとえをはっきり単語の形にしました。
- com-(完全に)+ prehendere → comprehend:アイデアを まるごと つかむ、つまり「理解する」。ここから comprehensive(すべてをつかんでいる → 包括的な)、comprehensible(つかむことができる → 理解できる)、comprise(中に取り込む → 〜から成る)が生まれました。
- ad-(〜の方へ)+ prehendere → apprehend:人に手をかける、つまり 逮捕する。そして同じ頭のたとえで「意味をつかむ」という意味にもなります。同じ語幹から apprehension(逮捕、または理解)が、さらに少し暗い方向へひねって apprehensive が生まれました。
この「暗いひねり」は少し立ち止まって見る価値があります。未来をうまく つかめない、手の中からするりと逃げていく——そんなとき人は落ち着かない気持ちになります。そこで apprehensive は「感じ取る」から「不安な気持ちで待ち受ける」へと意味がずれ、apprehension も今ではおもに「不安、懸念」を表します。
もう一つの大きな流れは、フランス語を通って形がすり減ったことです。prehendere が古フランス語を通るうちに、ごつごつした -prehend- はすっきりした -pris-/-prise- に削られました(フランス語 prendre =取る)。このルートで英語に入ってきたのが次の単語です。
- prison:ラテン語 prēnsiō「捕らえること」から。捕らえる場所 です。「つかむ」という行為が、つかまえた人を入れておく建物の名前になりました。
- sur-(上から、不意に)+ prise → surprise:上から いきなり つかまれる、つまり不意を突かれること。「つかむ」が感情の名前になったわけです。
- inter-/entre-(〜の間に、ただ中へ)+ prise → enterprise:何かを 手に取る、思い切った仕事に取りかかること。そこから「事業、企業」、そして「進取の気性」を表す enterprising が生まれました。
- ad- + prendre(学ぶ)→ apprentice:親方のもとで仕事を「身につけていく」人、つまり見習い。また apprise は「知らせる」(もとは「教える」)という意味です。
- re-(元へ、お返しに)+ prise → reprisal:取り返すこと、つまり報復。
つまり、このファミリー全体を動かしているのは「手が何かをつかむ」という一つのイメージです。どこで つかむのかを追いかければ、単語が読めるようになります。アイデアをつかむ(comprehend)、犯人をつかまえる(apprehend)、未来をつかもうとしてつかめない(apprehensive)、つかまえて閉じ込める(prison)、油断している人をつかむ(surprise)、計画をつかみ取る(enterprise)。
手が何かをつかむところをイメージしましょう。prehens はいつでも「つかむ」です。枝に巻きつく猿の prehensile(物をつかめる)しっぽが、この語根のいちばん素直な姿です。あとは「つかむ」場所を動かすだけ。アイデアをつかむ=comprehend、犯人をつかまえる=apprehend、不意につかむ=surprise。フランス語ですり減った -prise(surprise、enterprise など)も、形がなめらかになっただけで同じ「つかむ」です。
代表的な単語を詳しく
同じ語根を持つ単語の中から、特に語る価値のある数語を選び、その成り立ちを一つずつひもときます。
comprehendcom-(完全に)+ prehendere(つかむ)=アイデアをまるごとつかむ。これがこの語根全体を貫く中心のたとえで、「理解する」とは頭で何かをつかみ取ることなのです。あるニュースが「comprehend できない」ときは、文字どおりその内容をしっかりつかめない状態です。形容詞は役割を分担しています。comprehensive は「すべてをつかんでいる」(範囲が広い、包括的な)、comprehensible は「つかむことができる」(理解できるほど明快な)です。
com-(完全に)+ prehendere(つかむ)=アイデアをまるごとつかむ。これがこの語根全体を貫く中心のたとえで、「理解する」とは頭で何かをつかみ取ることなのです。あるニュースが「comprehend できない」ときは、文字どおりその内容をしっかりつかめない状態です。形容詞は役割を分担しています。comprehensive は「すべてをつかんでいる」(範囲が広い、包括的な)、comprehensible は「つかむことができる」(理解できるほど明快な)です。
comprehend を見るapprehendad-(〜の方へ)+ prehendere(捕らえる)=手をかける、つかまえる。この語は体の意味と頭の意味の **両方** を残している点に注目してください。警察が容疑者を apprehend する(体をつかまえる)、そして意味を apprehend する(考えをつかむ)。名詞 apprehension も同じく二つの顔を持っています。the apprehension of the thief なら「泥棒の逮捕」、a sense of apprehension なら「不安感」です。後者は、未来をつかもうとしてつかめないことが不安に変わった意味です。
ad-(〜の方へ)+ prehendere(捕らえる)=手をかける、つかまえる。この語は体の意味と頭の意味の **両方** を残している点に注目してください。警察が容疑者を apprehend する(体をつかまえる)、そして意味を apprehend する(考えをつかむ)。名詞 apprehension も同じく二つの顔を持っています。the apprehension of the thief なら「泥棒の逮捕」、a sense of apprehension なら「不安感」です。後者は、未来をつかもうとしてつかめないことが不安に変わった意味です。
apprehend を見るsurpriseいちばん日常的なメンバーですが、これが「つかむ」だと気づく人はほとんどいません。古フランス語を経た語で、sur-(上から、不意に)+ prise(取ること。prendre ← prehendere から)=上からいきなりつかまれる、不意を突かれる、という意味です。ラテン語のごつごつした -prehend- が、フランス語を通るうちになめらかな -prise- にすり減りました。つまり語源的に見れば、surprise とは待ち伏せ、こちらが見ていないすきに誰かにつかまれることなのです。
いちばん日常的なメンバーですが、これが「つかむ」だと気づく人はほとんどいません。古フランス語を経た語で、sur-(上から、不意に)+ prise(取ること。prendre ← prehendere から)=上からいきなりつかまれる、不意を突かれる、という意味です。ラテン語のごつごつした -prehend- が、フランス語を通るうちになめらかな -prise- にすり減りました。つまり語源的に見れば、surprise とは待ち伏せ、こちらが見ていないすきに誰かにつかまれることなのです。
surprise を見るprisonラテン語 prēnsiō「捕らえること」から来ています(prehensus と同じ語幹です)。つかむという **行為** を表す語が、つかまえた人を閉じ込めておく **場所** の意味へと移りました。つまり prison という名前そのものに、捕まる瞬間が刻み込まれているわけです。prisoner は、その「捕らえる」行為を受ける側の人、つまり囚人です。
ラテン語 prēnsiō「捕らえること」から来ています(prehensus と同じ語幹です)。つかむという **行為** を表す語が、つかまえた人を閉じ込めておく **場所** の意味へと移りました。つまり prison という名前そのものに、捕まる瞬間が刻み込まれているわけです。prisoner は、その「捕らえる」行為を受ける側の人、つまり囚人です。
prison を見るenterprise古フランス語 entreprise から来ています。これは entreprendre の女性形過去分詞で、entre-(〜の間に、ただ中へ。ラテン語の inter にあたる)+ prendre(取る。← prehendere)=「手に取る、引き受ける」という意味です。enterprise を立ち上げるとは、思い切った計画をつかみ取って走り出すこと。だから enterprising な人とは、いつでも自分から主導権をつかみにいく人のことです。
古フランス語 entreprise から来ています。これは entreprendre の女性形過去分詞で、entre-(〜の間に、ただ中へ。ラテン語の inter にあたる)+ prendre(取る。← prehendere)=「手に取る、引き受ける」という意味です。enterprise を立ち上げるとは、思い切った計画をつかみ取って走り出すこと。だから enterprising な人とは、いつでも自分から主導権をつかみにいく人のことです。
enterprise を見る関連する語根
どちらも「取る」という発想から来ています。cap(capere から)は「取る、捕らえる、つかまえる」を広く表す語根で、capture、accept、receive などの元です。prehens(prehendere から)は、もっと手触りのある「つかむ、握る」です。どちらも「捕らえる」という同じ発想に立っていますが、英語では二つの別のファミリーとして残っています。見分け方:capture / accept / receive → cap、comprehend / apprehend / prison / surprise → prehens。
どちらも手に関わるので混同しやすい組み合わせです。prehens(prehendere)は「つかむ瞬間」、つまり何かをつかみ取ることです。tain(tenēre から)は「持ち続ける」、つまりすでに手にしているものを保つことです(retain、contain、maintain)。見分け方:つかまえる瞬間 → prehens、そのあと握り続ける → tain。
関連する単語 · 16
prison
刑務所;投獄
surprise
驚き;思いがけないこと;驚かせる
prisoner
囚人;捕虜
enterprise
企業;事業;進取の気性
comprehensive
包括的な、総合的な
comprise
から成る;構成する
comprehend
理解する;含む
apprentice
見習い、徒弟
apprehension
不安、懸念;逮捕;理解
apprehend
逮捕する;理解する;懸念する
apprehensive
不安な、心配している
reprisal
報復、仕返し
comprehensible
理解できる、わかりやすい
apprise
知らせる、通知する
prehensile
物をつかめる、巻きつく
enterprising
進取の気性に富んだ、積極的な