英語の接頭辞10選|un・re・pre で1000語以上が読める
知らない英単語に出会ったとき、ひと目で意味の見当がつく。それも、前に暗記したからではなく、単語のしくみがわかっているから――そんな読み方ができたら、単語学習はずいぶん楽になると思いませんか。
その近道になるのが接頭辞(prefix)です。接頭辞とは、単語の前にくっついて意味を変えたり、はっきりさせたりする数文字のパーツのこと。よく使われる接頭辞は英語全体でも50個ほどしかありませんが、それらが顔を出す単語は何千にものぼります。そのうち10個を押さえるだけで、英語の扉を次々と開ける「合鍵」を手に入れたようなものです。
この記事では、特に働き者の接頭辞10個を一つずつ取り上げ、それぞれの「キャラクター」と代表的な単語を紹介します。頻出の接頭辞・接尾辞を表でざっと見渡したい方は、先に英語の接頭辞・接尾辞一覧をどうぞ。
1. un- — 打ち消しの王様
意味: 〜でない/元に戻す
英語の接頭辞のなかで、文句なしのチャンピオンが un- です。出どころは古英語。ラテン語でもギリシャ語でもない、生粋のゲルマン系です。しかも造語力が桁違いで、3,000語以上の英単語につくと見積もる言語学者もいます。
働きは2つあります。形容詞につくと「〜でない」:uncomfortable(快適でない → 心地よくない)、unusual(ふつうでない → 珍しい)。動詞につくと「その動作を元に戻す」:undo(したことを取り消す)、unlock(鍵を開ける)。
やってみよう: un + known = ? un + wrap = ? un + precedented = ?
2. re- — タイムマシン
意味: 再び/元へ
人生の巻き戻しボタンを押すところを想像してください。それが re- です。ラテン語から来ていて、「もう一度」または「前の状態へ戻して」という意味。じつは身近な単語ですでに出会っています。return(戻る)、repeat(繰り返す)、review(見直す)。
面白くなるのは、単語を分解しはじめてからです。reconstruct = re(再び)+ construct(建てる)→ 建て直す、再建する。reproduce = re + produce(生み出す)→ もう一度生み出す、再現する。パターンが見えてきましたか。
やってみよう: re + organize = ? re + consider = ? re + fuel = ?
3. in-/im-/il-/ir- — 変装の名人
意味: 〜でない
この接頭辞には「裏の顔」があります。意味は un- と同じく「〜でない」。ところが、すぐ後ろに来る文字によって姿を変えるのです。
- たいていの文字の前では in- → invisible(見えない)
- b・m・p の前では im- → impossible(不可能な)、immature(未熟な)
- l の前では il- → illegal(違法な)
- r の前では ir- → irreversible(元に戻せない、不可逆の)
なぜ形が変わるのか。口が自然に発音をなめらかにしようとするからです。「in-possible」と早口で言ってみてください。p を出すために唇を閉じようとするので、n が m に引き寄せられます。言語学ではこれを*同化(assimilation)*と呼び、どの言語でも起こる現象です。日本語でも「さんぽ(散歩)」の「ん」は、次の「ぽ」につられて唇を閉じた m に近い音になっていますね。
やってみよう: in + complete = ? im + patient = ? ir + regular = ?
4. dis- — 引き離し屋
意味: 〜でない/離れて/遠ざかって
un- が穏やかな打ち消し役だとすれば、dis- はもっと劇的な親戚です。ただ「〜でない」と言うだけでなく、「バラバラに、遠くへ、逆の方向へ」というニュアンスを帯びています。何かが disappear するとき、それは単に「現れていない」のではなく、すっと消え去っていく。disconnect するときは、つながっていたものを引き離すのです。
- discover(dis + cover)— 覆いを取り去る → 発見する
- disagree(dis + agree)— 意見が離れていく → 意見が合わない
- disrupt(dis + rupt)— バラバラに壊す → 混乱させる、中断させる
やってみよう: dis + connect = ? dis + advantage = ? dis + believe = ?
5. pre- — 予言者
意味: 前に
pre- はラテン語の prae から来た接頭辞で、驚くほど文字どおりに働きます。preview = 前もって見る(→ 下見、予告編)。predict = 前もって言う(ラテン語の dicere「言う」から)→ 予言する。prepare = 前もって整える → 準備する。
pre- は、いつも約束の時間より早く着いてしまうタイムトラベラーだと思ってください。見かけたら頭の中で「前に」と差し込むだけで、単語がほぼ自動的に読み解けます。
- prehistoric(pre + historic)— 記録された歴史より前の → 先史時代の
- precaution(pre + caution)— 前もっての用心 → 予防策
- prerequisite(pre + requisite)— 前もって必要なもの → 前提条件
やってみよう: pre + mature = ? pre + occupy = ? pre + determined = ?
6. mis- — うっかり者
意味: 誤って/まずく
英語でいちばんドジな接頭辞をご紹介しましょう。古英語から来た mis- が伝えることはただ一つ、「何かがうまくいかなかった」です。mislead = 間違った方向へ導く → 誤解させる、欺く。misunderstand = 誤って理解する → 誤解する。mistake = 誤って取る → 間違える、間違い。
この接頭辞には妙な味わいがあります。出てくるたびに、小さな失敗談を一つ語ってくれるのです。misprint は刷り間違い(誤植)、misjudgment は判断が道をそれたもの(判断ミス)。
やってみよう: mis + fortune = ? mis + behave = ? mis + inform = ?
7. ex- — 脱出の達人
意味: 外へ/元の、前の
ex- はラテン語で「〜から外へ」。現代英語では、二つの顔を持っています。ラテン語由来の古典的な単語では「外へ」:export(外へ運び出す → 輸出する)、exclude(外へ締め出す → 除外する)、extract(引き抜く → 抽出する)。ところが日常会話では「元の、前の」という意味でも使われます。ex-boss(元上司)、ex-partner(元パートナー)のように。
「外へ」の意味からは、鮮やかなイメージが浮かびます。exhale は息を外へ吐き出すこと。extraordinary は「ふつう(ordinary)」の外に大きく飛び出しているから、並外れた、驚くべき、という意味になります。
やってみよう: ex + press = ? ex + tend = ? ex + plore = ?
8. trans- — 橋をかける人
意味: 越えて/向こうへ
目を閉じて、川の向こう岸へ架かる一本の橋を思い浮かべてください。それが trans- です。ラテン語から来ていて、「越えて」「向こう側まで通り抜けて」という意味です。
translate は文字どおりには「向こうへ運ぶ」――意味をある言語から別の言語へ運んでいくこと、つまり翻訳です。transport は物理的な空間を越えて「向こうへ運ぶ」、つまり輸送。transform はある形から別の形へ「形を越えさせる」、つまり変形させることです。
- transparent(trans + parent、ラテン語の parere「現れる、見える」から)— 光が通り抜けて向こうが見える → 透明な
- transcontinental — 大陸を越える → 大陸横断の
- transaction(trans + action)— 二者の間で行き来する行為 → 取引
やってみよう: trans + fer = ? trans + plant = ? trans + mit = ?
9. inter- — つなぎ役
意味: 間に/相互に
私たちはまさに inter- の時代に生きています。internet はネットワークとネットワークの間を結ぶネットワーク。interview は二人の間で互いを見る場、つまり面接やインタビュー。international は国と国の間の、つまり国際的な。
このラテン語の接頭辞は、ものとものとの「つながり」と「すき間」がテーマです。物どうしが interact するとき、それらは互いに作用し合っています。誰かの話を interrupt するとき、あなたはその人の言葉の間に割り込んでいるのです。
- intercept(inter + cept)— 間でつかまえる → 途中で奪う、傍受する
- intermediate(inter + mediate)— 両極の間の真ん中にある → 中間の、中級の
- intervene(inter + vene)— 間に入ってくる → 介入する
やってみよう: inter + change = ? inter + depend + ent = ? inter + sect = ?
10. sub- — 縁の下の力持ち
意味: 下に/下位の
submarine は海の下を進むもの(潜水艦)。subtitle はメインタイトルの下に置かれるもの(副題、字幕)。subway は地面の下を通る道(地下鉄)。sub- を「下」と見られるようになれば、足もとに英単語の層がまるごと広がっていきます。
この接頭辞には「格下の、二次的な」という感覚もあります。subordinate はあなたより下の地位にいる人(部下)、substandard な製品は基準を下回るもの(標準以下)です。
- subscribe(sub + scribe)— 下に書く → 署名する、申し込む、定期購読する
- subtract(sub + tract)— 下から引き抜く → 取り去る、引き算する
- substitute(sub + stitute)— 下に置く → 代わりに置く、代用する
やってみよう: sub + merge = ? sub + conscious = ? sub + mit = ?
接頭辞で単語を読み解いてみる
では、ここまでに覚えた接頭辞を使って、見慣れないかもしれない一語に挑戦してみましょう。
misinterpretation
分解すると、mis(誤って)+ interpret(解釈する)+ -ation(名詞をつくる接尾辞)。interpret の中にも inter(間に)が隠れています。「人と人の間で意味を取り違えること」――まさにそのとおりで、この単語の意味は「誤解、誤った解釈」です。
これこそ接頭辞がくれる力です。その単語を前に見たことがあるかどうかは関係ありません。単語の中をのぞき込めればいいのです。
次に読むなら
気になった接頭辞は、それぞれの詳細ページで例語や語源をさらに確かめられます(本文中の接頭辞のリンクからどうぞ)。接頭辞・接尾辞をまとめて整理したいときは英語の接頭辞・接尾辞一覧へ。
接頭辞が意味をどう変えるかがわかったら、次は語根と組み合わせてみましょう。もっとも生産的なラテン語の語根10選で紹介している語根に今日の接頭辞を掛け合わせると、読み解ける単語の数に驚くはずです。語源学習そのものがはじめての方は、英単語は語源で覚えるもあわせてどうぞ。